AWC つらら等のトリック   永山



#7642/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  13/04/08  21:17  ( 23)
つらら等のトリック   永山
★内容
 ミステリのトリックに、氷で作った凶器があります。犯行後に消えてなくな
るから証拠が残らない、というのが眼目。
 ただ、氷制の凶器の中でも、氷で作った刃物というのはミステリにおいても
否定されるのが、もうだいぶ前から約束事のようで。人の肌を切り裂くほど鋭
利には仕上がらないし、突き刺すには強度が足りない。この否定をした上で、
塩を入れて強度を増したという作品があったように記憶していますが、果たし
て実際に通用するのか。
 その点、つららはミステリでもまだ実効性を認められているらしく、たまに
出くわします。

 で、昨日のニュースですが、ロシアで家の軒先にできたつららが落下し、下
にいた子供が死亡したとのこと。
 重量によるものか、突き刺さったのかは分かりませんが、日本でも雪国では
冬、つららに注意するのは常識だとか。
 で、記事には、家を管理する会社に責任がある旨が記されていて、びっくり。
つららを早めに落とす義務があるとかどうとか。いったいどういう形態の家屋
なんでしょ? アパートタイプならまだしも、戸別の家だとしたら、管理会社
はその一軒一軒に責任を持たなければならない訳で、厳冬下に、全てを見て回
ることなんてできるのかしらん?
 ミステリ書き的には、これを利して狂言事故を起こして、賠償金をせしめる
筋が思い浮かぶな〜。

 ではでは。




#7644/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ    *** コメント #7642 ***
★タイトル (mor     )  13/04/09  23:03  ( 28)
当たりどころが悪ければ……守屋
★内容
氷をストレートに凶器として使うのは、いまさらという感じでしょうね。
テレビやクイズ本にさんざん出ていますから、氷を思いつかないほうが違和感かも。

つららが危ないのは、氷の硬度や破片の鋭さではなく、高い位置からの落下物だからで
はないでしょうか?
当たりどころが悪ければ、かなり危険なのではと思います。
子どもやお年寄りだと、はずみで転んで、さらに怪我をすることもありそうですし。

ところで……。
話題の小説を読んだりテレビドラマを観たりしていると、しばしば疑問を感じるので
す。
“常識”の範囲をどう設定・描写すべきなのか、と。
作中、とても頭がよいとされている登場人物が、自分より常識的な知識を持っていなか
ったりすると、げんなりしてしまいませんか。

「造花の蜜」のテレビドラマ版を見終えたばかりなので、余計にそういうところが気に
なってるのかも……。
あまりにチープな人物設定や捜査の描写で、原作小説は途中でリタイアしてしまいまし
た。
新人作家でもないのに、誘拐物に警察を出すなら、最低限の捜査手順は知っておいて欲
しいと思います。
「黄昏のベルリン」もありがちワン・アイデア物だったし(翻訳された類似アイデア物
をいくつか読みました。翻訳されない海外作品はもっとあるはず)、予備知識なしゆえ
の思いつきを小説化した労力は買いますが、ああも高評価を受けた理由が謎です。

反対に、松本清張は地味なところにリアリティがあってすごいなあと、評価を上方修正
しました。
ストーリーを知っていても、映像化のたびに見たいと思ってしまいます。




#7647/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ    *** コメント #7644 ***
★タイトル (AZA     )  13/04/10  21:11  ( 27)
「コモンセンスの意味知ってる? 常識だよ」   永山
★内容
 常識の範囲とその周辺の問題。
 インターネットのせいかどうか、氾濫する情報が以前にも増して膨大になり、
何が常識なのか、どこまで常識なのかが線引きしにくくなってる気がします。

 警察の捜査の段取りに関してはまた話が別になりますが、今持っている知識
が、現時点で本当に警察が用いているのかどうか、一般人に完全には把握でき
ないし、公開されていない捜査手法が存在するかもしれない。そんなことを考
え出すときりがなくなりますが、作家としては、知る限りの現実の捜査に加え、
ある程度は想像の翼を広げていいんじゃないかと思います。もちろん自由奔放
に広げていいって訳じゃなく、読者に「これはありそうだ。あってもおかしく
ない」と思わせるだけの熟慮や工夫、さじ加減などが必要となるでしょう。

 さて、物事全般に関する常識に話を戻しまして、書く側に立って考えてみる
と、私も、この知識は読者にどの程度知れ渡っているのだろうか?と悩むこと
があります。どこまで筆を割くべきかという点以外にも、雑学ネタを応用した
トリックだと「このトリック、実はばればれだったりして」と心配に。
 まあ、知識に限りませんよね。たとえば感覚。私はコインやお札が増えてい
くマジックを退屈と感じるのですが、ショーに行くと観客のほとんどが、お金
のマジックに大きな歓声と拍手を送るので、私の感覚はおかしいのだろうかと
少々不安になる。笑いのセンスも同様。「このジョークの微妙なニュアンス、
果たして伝わってるのだろうか?」とか(笑)。

 ちなみにタイトルに用いたジョークは、パズル本からの借用。
 実際には、日本語の「常識」と英語の「コモンセンス」はイコールではない
どころか、だいぶずれているらしいです。

 ではでは。




#7653/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ    *** コメント #7647 ***
★タイトル (mor     )  13/04/12  23:14  ( 13)
「造花の蜜」・守屋
★内容
もちろん事実ではないからダメ、というつもりはありません。
「こち亀」なんて無茶苦茶ですが、フィクションとしては楽しめるから人気があるわけ
でしょう。

トリックも、着眼点そのものはよかったと思います。
ただ、問題点が多すぎ&大きすぎ……。

そもそも作者は誘拐捜査のことを知らないし、調べてもいない(毛利文彦『警視庁捜査
一課特殊班』は一般書籍です)ので、犯人との知恵比べという設定が設定止まりで上滑
りしている。
2時間ドラマ基準の知識でストーリーをまとめられてもなあ、という気分なのですよ。
読者をアホだと思っているのか、作者が劣化したのかはわかりませんが、高評価された
ことも含めて残念でなりません。




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