#5606/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 09/07/10 23:22 ( 28)
本の感想>『犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題』 永山
★内容
落語を聴いて来たので、そのレポ&感想を書くつもりでしたが、疲れたのと
時間がないのと一太郎がないのとで、あきらめました。
代わりに例によっての本の感想棚卸し。
本の感想>『犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題』(法月綸太郎 光文社)
13/4441
[牡羊座]ギリシャ羊の秘密……ホームレス殺しの犯人は、何故、羊のタグ
付きジャケットを持ち去ったのか。[牡牛座]六人の女王の問題……俳句の新
境地を切り開く売れっ子ライターが殺される。直前に発表された原稿には、辞
世の句らしきものが。[乙女座]冥府に囚われた娘……水中毒で入院中の女性
から、植物に水をやって欲しいとの携帯メールが来る。ところが見舞いに行く
と彼女は入院来、意識不明が続いていた。
十二星座から六つを取り上げ、題名に冠した意欲あふれる短編集。
他のアンソロジーで既読だったため、上述の粗筋では触れませんでしたが、
「[双子座]ゼウスの息子たち」と「[蟹座]ヒュドラ第十の首」が、本書の
双璧。これら二つに比べると、他はだいぶ見劣りするような。今回の採点も、
既読であることを込みで付けたので、やや低めになっています。費用対効果に
難あり、とでも言えましょうか(図書館から借りて読んだのに、えらそうです
みません)。
もちろん、合格ラインに達した作品揃いであることは間違いありません。
ただ、星座を組み込むことを課した結果、悪い影響も出てるかなあ、と。型
にはめて作ってる印象が強く、また、登場人物の配置をギリシャ神話などにな
ぞらえる辺りも、できすぎかつ小説作法の常套手段で、あとになるほど飽きが
来るような。
双子座と蟹座を未読であれば、お薦めの一冊。
ではでは。
#7931/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ *** コメント #5606 ***
★タイトル (AZA ) 13/10/19 21:20 ( 25)
本の感想>『犯罪ホロスコープ2 三人の女神の問題』 永山
★内容
・『犯罪ホロスコープ2 三人の女神の問題』
(法月綸太郎 光文社カッパノベルス)13/4441
二つの殺人事件の現場には、同じ系統のタロットカードが一枚置かれていた。
しかし、被害者同士の関連は見つからないし、無差別連続殺人のようにも見え
ない。犯人は何のために、二つの事件の関連をアピールしたのか?(「[天秤
座]宿命の交わる城で」)。三人組アイドルの解散から十年。そのファンクラ
ブ会長だった男が、芸能事務所の元社長を殺害し、自殺する――という構図の
事件に思えたが、容疑者が犯行後、アイドル達に携帯電話で連絡を入れていた
事実が判明し、混迷し始める(「[蠍座]三人の女神の問題」)。
黄道十二星座をモチーフにしたミステリ短編六作、第二弾。
前作の『犯罪ホロスコープ1』がよかった記憶があったので、本作にもとて
も期待していたのですが、期待しすぎでした。本格としては、1の方が上でし
ょう。2は、ツイストの効いた作品が多く、バラエティに富んでいた。その意
味ではこちらもよかった。
登場人物のネーミングが一部、星座を意識したものになっていて、少々やり
過ぎ感があった。ストーリーと関連があるのならまだしも、単なる駄洒落とさ
ほど変わらないレベルのネーミングは、しない方がいいような。
ベストは、表題作でもある「[蠍座]三人の女神の問題」かな。事件の構図
を暴く過程が面白いし、最後の詰めでの論理展開もなかなか特徴的でいい。
黄道十三星座も言われるようになったことだし、ボーナストラック的にもう
一編、蛇遣い座をモチーフにした短編は書かれないのかしらん。
ではでは。