#7230/7701 連載
★タイトル (KXM ) 00/ 2/ 7 20:11 ( 40)
南風 KEKE
★内容
南風 談知
沖縄の海は本当にエメラルドグリーンだぜ。誰かがいうのを
聞いて私は沖縄に旅立った。あれは私が27歳だったっけ。大
阪から夜行列車で鹿児島まで行き、フェリーに乗り込み沖縄に
向かった。なんだかそれが、一番粋な沖縄への乗り込みかたの
ような気がしたのだ。おりしも師走の風の吹く本土から、もは
や春風が吹いているような沖縄。あっという間の一夜の船旅だっ
た。
那覇に降り立った私はユースホステルを目指した。公営の大
きなほうではなく、私立の小さなほうのユース。到着したそこ
は、いかにも貧乏旅行者の安宿という感じの建物だった。そし
て、そこに粋なお姉さん、あえておばさんとはいわない、がい
た。
なにをするでもなく毎日をすごす。東南アジアやインドネパー
ルでの安宿と同じだ。同じといえば、その暑さも市場の猥雑さ
もあちらと同じだ。東南アジアテイストの街をなにをするでな
くぶらつく。ユースでくつろぐ。なにをするでなく、というの
が合い言葉。こういう旅で、役に立つことをしてはいけない。
何の役にもたたない、どうでもいいことのみやる、これが貧乏
旅行の醍醐味。
二週間くらいそのユースにいたろうか。さすがに飽きてきた。
で、即移動。石垣島にいく。また船に乗った。石垣島からさら
に先、西表島へいく。そこのユース。時まさに正月元旦。そし
て少女がいた。21歳の女性に少女は失礼か。私と同じ大阪の
女だ。おっす、と声をかけ、さっそく口説く。どうねえちゃん、
今夜。そんな馬鹿なことはない。下心を隠しつつ、紳士面して、
あくまで上品にさそいをかける。
一週間があっというまにすぎる。彼女は大学生。新学期がは
じまる。一緒に帰る私。ふたりきりの旅だぜ、セニョール。
それからどうなったかって、どうにもならなかったのよ。大
阪で船をおりたら、はいさよなら、だって。あれは一場の夢か。
あれからずいぶん時がたって、いったい何がいけなかったの
か、この私にもようやくわかるようになってきた。
南風吹いて、肌に心地よく、吹かれて消えた恋だったのさ。
KEKE EmBiglobe 2.04