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吉外信報54 大舞 仁
★内容
今回は天宇受売命(アマノウズメノミコト)の物語です。
1 天宇受売命の登場(その1)
まず1度目は、須佐之男命(スサノヲノミコト)が狼籍に怒った天照大神(アマ
テラスオオミカミ)が天之石屋戸に隠れると天地すべてが暗くなり、八百万の神々
が河原で相談し、天宇受売命が天の香山の天の日影を手次とし、天の真析を縵(か
づら)とし、天の小竹葉を手草に結い、汗を漂わせ踏み鳴らし、神懸りになり胸乳
をあらわにし、腰紐を陰部まで押し上げて夢中で踊った。八百万の神々は拍手喝さ
いし、石屋戸に入っていた天照大神が不思議に思って外に出てみると、自分の姿が
鏡に映っているではありませんか驚く天照大神に、石屋戸のそばで隠れていた天手
力男神(アマノタヂカラノカミ)が石屋戸を開けると暗かった世界がいっきに明る
くなったという話しです。
ウズとは神事の際に頭に差す葉や枝のことを言い、ウズメとはウズを差した女のこ
との意味である。つまり天照大神が太陽神の化身ならば、太陽が隠れるということ
は冬至のことではなかっただろうか。世界各国に残っている鎮魂祭と同じくして、
天宇受売命自身が太陽を引っ張り出す巫女の役目をしていたのではなかろうか。
そしてまた彼女天宇受売命のまわりには笑いがある。それもただの笑いではない何
事にもとらわれず天真爛漫なものではなかったのかと思われる。
また天宇受売命の陰部の露出、そこに起こる笑いは、邪気を払う呪術と思われる。
この天之石屋戸神話は鎮魂祭の儀式を下敷きに創作されたものらしい。鎮魂祭は11
月中の寅の日に天皇の衰徴する御魂しいを揺り動かして新生を即し、かつそれが肉
体から遊離しないように鎮める秘儀である。
2 天宇受売命の登場(その2)
天照大神の孫、迩々芸命(ニニギノミコト)が天孫降臨の供ぞろいの一行に交渉
のうまい天宇受売命(天之石屋戸でも証明済み)もくわえられた。
さて一行が出発してまもなく、鼻の長さ七寸、背丈は七尺あまり、口のわきがて
らてら赤く、眼は鏡に似て、赤いほおずきのように照りかがやくものがいた。彼の
前に天宇受売命は、その胸を開いて乳をあらわにかきいで、腰の紐をへその下まで
おしたれて、笑いを浮かべてたった。彼女の活躍がなかったら猿田毘古大神(サル
タヒコノオオカミ)との接触はなかったものと思われる。彼曰く「天照大神の子孫
が今こちらにこられると聞いて、お迎えしようとして待っている」ここで天孫は筑
紫の国高千穂に降りることになった。
彼女の勇気にたたえ猿田毘古大神はサルタヒコという名にするようにミコトノリ
され、これから後、天宇受売命の系統のおどり専門の宮廷人(猿の名をもらった猿
女)は、一定の身分を保証されて、鎮魂祭の歌舞・大嘗祭の前行に踊って奉仕した。
実際の歴史の中でも異民族との接触にこんなことがあったのではなかろうか。猿
田毘古大神は天孫が降りてくるのを事前に察知しているらしいが、異民族対異民族
では言葉が通じない。そこで双方あったと思われる踊りという方法で、しかも乳を
出し、陰部をも出した。ほとんど丸腰の姿勢で相手を信頼させ、笑わせ、安心させ
る必要があったのではなかろうか。
大舞 仁
参考文献 平凡社「アメノウズメ伝」鶴見俊輔著
新人物往来社「日本「神話・伝説」総覧」