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★タイトル (GSA ) 98/ 6/26 1:31 ( 48)
三宮晴樹とその友人達(48) ハロルド
★内容
『日本代表を真剣に応援しなかった戦犯』選定作業が晴樹達四人の間で行われて
いた。譲治は晴樹に耳打ちした。
「お前、自分が罰を受けるって言ったじゃねえかよ」
「だからさ、何とかうまく話をうやむやにして、誰も戦犯が選ばれないように話を
持っていこう。それしかないよ」
「それではまず内田から審査する」郁太郎は言った。「内田は、前に『ニッポン!
ニッポン!』のかけ声が『ペロン! ペロン!』に聞こえるなどとふざけたことを
言ったが・・・」
善三は郁太郎の言葉を身構えながら聞いていた。
「・・・これは敢えて日本を貶める台詞には当たらないと判断する。そして他にも
日本を侮蔑するようなことは言っていないので、よって内田はこの四人の中から決
勝トーナメント進出ならぬ戦犯候補からの脱落とする」
「よかったあーっ!」善三は安堵の叫び声をあげた。
「次に三宮!」郁太郎は晴樹を睨んだ。「君はアルゼンチン戦でバティストゥータ
とベロンがよくゴールできたなどという、敵チームを褒め称える発言をしているね」
「そんなこと言ったような、言わなかったような・・・」
「言ったじゃないか! 俺はこの耳で聞いてんだ」郁太郎は怒鳴った。
「わかった、わかった。確かに言った。でもいくら敵チームを賞讃したからって、
それで日本を真剣に応援してないってことには・・・」
「ならないなんて言うんじゃないだろうな?」郁太郎の晴樹を睨む眼には殺気がこ
もっていた。「これは失点1ポイントだな」
「失点1?」
「しかもジャマイカをイメージダウンさせる番組を作るように頼むのを断ろうとし
たな。これで失点2だな」
「ちょっと待って!」晴樹は制した。「一応頼んだことは頼んだの。それでプロダ
クションの方も作ろうとはしたみたいなんだけど局の方が却下したみたいで・・」
「じゃあ失点1のままということにしよう」郁太郎は譲治の方を向いた。「次、小
原!」
「俺は別に何も言わなかっただろ」譲治は堂々とした態度で言った。
「君については妙な話が舞い込んできている。何でも私の知らないところで『日本
がフランスでプレーしたら、その実力の化けの皮が剥がれる』なんてことを言った
とか言わなかったとか・・・」
譲治の態度は急に萎縮した。「えっ? 何の話だろ・・・・」
晴樹の表情にも緊張が奔った。郁太郎の言ったことは事実だったからだ。彼らは
なんとかそのことを悟られないように平静を装った。
「はっきり確認できたわけじゃないけど、かなり信憑性のある話なんだ。正直に言
いたまえ。言ったんだろ?」郁太郎は詰め寄った。
「言ってない言ってない。そんな覚えないもん」譲治は狼狽しながら否定した。
「確かその時は、吉住と三宮と一緒に話してたということだが」郁太郎は晴樹の方
を向いた。「三宮。小原は本当に言わなかったのか?」
「うーん、そんな話聞いた覚えはなかったような・・・」
「じゃあ小原は失点ゼロで三宮が失点1だから、三宮が戦犯ということになるな。
それじゃあ早速・・・」
「聞いた、聞いた! 確かに言いました。譲治は僕と吉住の前で、中田の顔の皮に
引っかけて『岡田ジャパンの実力の化けの皮が剥がれる』を表しているとか何とか
言ってました!」
譲治は、唖然とした表情で豹変した晴樹を見つめていた。
(98/06/25)