AWC 三宮晴樹とその友人達(36)           ハロルド


        
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★タイトル (GSA     )  98/ 5/23   1:38  ( 41)
三宮晴樹とその友人達(36)           ハロルド
★内容
 昼休みの教室にて、晴樹と善三が話し合っていた。
「日本人学校に通ってた僕のインドネシアのメール友達も、ついこの間日本に帰っ
てきたばかりなんだよ」善三が深刻そうな表情で言った。
「スハルトさんも辞めるって言ってるけど、その次のハビビさんが同じようなこと
をすれば、また大きな暴動が起こるかもしれない。五〇〇人死んだって出てたもん
ねえ」
「暴動による死者か。ああいう悲劇を防ぐ方法なんてなかったのかなあ?」
 二人の話を立ち聞きしていた吉住響子が間に入ってきた。
「加藤紀子のドラマを見せればいいのよ」
「加藤紀子のドラマ?」
 晴樹は、何の関連性もない響子の言葉に顔をしかめた。
「あのね、今、真面目な話してるところなんだけど」
「だから、インドネシアの暴動を鎮めるためには、加藤紀子のドラマを見せればい
いのよ」
 響子には表情は真剣さが伺えた。
「どういう関係があるんだよ?」
「スハルト退陣を求めて、学生達がスハルトさんの形をしたオブジェを焼いたり、
スハルトさんの顔写真を張った人形を首にロープを巻いて引きずったりしていたけ
ど、そんな呪い方をしても何の効果もないわ」
「効果?」
「でも加藤紀子の最近のドラマで、嫌な姑をワラ人形で呪うシーンがあるのよ。イ
ンドネシアの学生がそのドラマを観て、ワラ人形でスハルトさんを呪うやり方を覚
えれば、スハルト体制の打破に絶対効果があると思うし、厳粛な儀式に乗っ取って、
夜中に静かにそれが行われるわけだから、昼間に騒ぐのと違って大がかりな暴動が
波紋のように広がる可能性はなくなるって訳よ」
 晴樹は呆れながら、善三の方を向いた。
「どう思う?」
 善三は響子の話を今まで黙って聞いていたが、やがて言った。
「良い考えかもしれない」
 晴樹は、善三の真剣な表情に唖然とした。
「インドネシアの人々にとっては、一石二鳥のやり方じゃないかな」
「何とかして、この方法をインドネシアのメディアに伝えてやりたいわね」
 善三と響子は、自分達の案にはしゃぎだした。
「三宮君はどう思う?」
 二人が晴樹の方を向くと、彼は教科書を開いて試験勉強を始めていた。
「でも本当にワラ人形の呪いの効果なんてあるのかな?」善三が言った。
「身近な人で試してみるというのはどう?」

 その日の夜の午前二時、夜更かしをしていた柏原郁太郎は、何故か胸に強い痛み
を覚えていた。命に別条はなかった。
                                                              (98/05/22)




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