AWC おんなのこ2 第3章(学園ラブコメ)  凡天丸


        
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★タイトル (NXN     )  98/ 5/22  23:15  (122)
おんなのこ2 第3章(学園ラブコメ)  凡天丸
★内容

   第3章 ふたりでお弁当!

 「ふわぁぁぁぁぁ……」
 眠い‥‥‥
 「もうっ、今日はどうしちゃったのよ舞子!? 午前中ずっとアクビしたり、ウト
  ウトばっかしちゃってさぁ?」
 4時限目が終わって食堂に向かう途中、仲良しの知美がポンとあたしの背中を叩い
て聞いてきた。
 いつもあたしは、梁子(りょうこ)、知美(ともみ)、そしてやはり仲の良い沙世
(さよ)の4人で、学生食堂でお昼を食べている。
 今日も例外なく向かっている最中だ。
 「そうそう、いつもフニャ気てるけど、今日は特に超フニャフニャのムニュムニュ
  よねぇ!?」
 そんな沙世の言葉にも、言い返す気力はない…
 「梁子さんは、理由知ってるの?」
 ひとり後ろからついてくる梁子に、知美が尋ねた。
 かすかに口元を歪めた梁子に、何かあると察した知美と沙世が、梁子を挟んで並ん
でしきりに尋ね出すと、梁子はもったいぶるように少しずつ話し出した。
 「昨日、恋人と0時過ぎまでTELしてたんだとさ」
 「ええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
 二人の驚きの合唱に、まわりにいた生徒達が一斉に足を止めて振り向く。
 そそくさと注目をやりすごしてから、今度は小さな声で知美がその先を聞いた。
 二人とも現在、彼氏はいない。関係ないだろうけど、二人は殺気だって見えた。
 「ど、どこの誰よっ、うちの学校!?」
 「ああ、1年の”月島 湧”って奴さ」
 同時に二人が絶句した。たぶんあたしが年下の美少年をゲットしたって勘違いして
るんじゃないかしら…
 でも…ねむくて……否定するのも面倒くさい……

 「せっ・んっ・ぱっ・いっ!」
 一瞬心臓が止まって、わずかばかり残っていたあたしの元気が、一斉に身体の中を
あたふたと逃げ回ったあげく、行き場を失って隅っこで怯えだした。
 責任者として、あたしは恐る恐る声の方に振り向いた。
 出たぁぁぁ!!
 階段の影から飛び出た湧ちゃんは、電話でも学校でも相変わらず元気いっぱいだっ
た。まるで、身体からあふれだした元気達が、オーラとなってキャイキャイと湧ちゃ
んの後ろから着いて来て、あたしの元気の周りに何重にも輪をつくって、”マイムマ
イム”を踊りだしたみたいだった。
 「せんぱああい。ユウ、せんぱいの為に早起きしてお弁当つくってきちゃいました
  あぁあ! 屋上で一緒に食べません?」
 尋ねておきながら、勝手にあたしの腕に手をまわして強引に連れて行こうとしてい
る。 湧ちゃんの力なら、簡単に振り払うこともできるけど、あんまり一生懸命に引
っ張って行こうとするもんだから、つい足を踏み出してしまう弱いあたし…
 あっけにとられて呆然とたたずんでいた知美と沙世の姿が、どんどん視界から遠ざ
かって見えなくなっていった。
 つぎに会う時は、殺気も消えているに違いない。
//
 だるい身体にムチ打って、なんとか屋上までたどりつき、外に出る重い扉を押し開
けると、眩しい陽の光と鮮やかな人工芝の緑が、寝ぼけたあたしの眼と脳をたたき起
こした。
 眩しさに眼が慣れてくると、‥‥‥!?
 そこは何と、放課後の中庭同様、恋人達の”愛の園”と化していた!!
 恋人達はあちこちに陣取り、女生徒が男子にお弁当を食べさせてあげてたり、膝枕
で耳掃除をしてあげてたりと、それぞれが至福の時を謳歌している。
 ”桃源郷”という文字が、まざまざと脳裏に浮き上がって消えた。
 お昼に中庭で見かけないと思ってたら、こんな所に集まってたのかぁ……なんて納
得してる場合じゃなかったわっ!
 こ、こんな所で、お弁当なんか食べられないよぉぉぉ!!!
 「ね、ねぇ湧ちゃん。ほかで食べようか?」
 横を見ると、あれ…? 湧ちゃんが蒸発している!?
 「せんぱあぁぁいっ、こっち! こっち! ここ空いてまあぁぁすぅ!!」
 あたしの気も知らないで、湧ちゃんはちゃっかり水玉模様のビニールシートを引い
てすでに座っていた。
 もう…どうして? よりによって? まん真ん中なのおぉぉぉ!!
 隅に集まるのがカップル達の修正なんだろうけど、これじゃまるで、わざわざあた
し達の場所を空けてくれてたみたいじゃない……
 しかたないわっ。こうなったら早く食べちゃおうっ。
 上履きを脱いでシートに座ったあたしは、ソワソワと辺りを見回して見て、改めて
辺りに居るのが全部、恋人同士だと知らしめられた。
 あまりのバツの悪さに、全身から汗がふきだしてきた。湧ちゃんはというと、ここ
に居るのが当然といった感じで、嬉しそうに鼻歌を口ずさみながら猫のキャラクター
の付いたお弁当箱をひろげている。
 ま、まずいわ! こ、これじゃあたし達がまるで…みたいじゃないのぉぉぉぉ!!
 「はいっ、せんぱい。食べましょう」
 急いで食べてしまおうとお弁当に眼をやると、なぜか湧ちゃんは、一つしかお弁当
を持っていなかった。
 「せんぱいの好物が分からなかったから、今日は、ユウの大好物のハンバーグにし
  ちゃいましたけど、せんぱいもハンバーグ好きですかぁ?」
 湧ちゃんは、お弁当を膝の上にのせ、箸箱からピンクのお箸を取り出しながら心配
そうに小首を傾げて、あたしの瞳を覗き込んできた。
 「え、ええ。好きだけど…」
 「よかったぁ。せんぱいも絶対好きだって思ってたんですぅ。はいっ、どうぞ」
 湧ちゃんが、安堵の笑みをみせながら、お箸でハンバーグを摘んであたしの口元に
さしだした。
 こ、これはまさかっ!? 冗談でしょぅぅぅ!!!
 「はいっ、ああぁぁぁんしてください。せんぱい。すっごくおいしいですよお」
 湧ちゃんのニコニコ顔を見ていると、食べなくちゃ可哀想になってくる。食べなか
ったら、泣いちゃうかもしれないもん。
 あたしは、意を決して誰もこっちを向いてないことを確かめてから、さしだされた
ハンバーグを半分かじった。
 「どうですかぁ? おいしいですかぁ?」
 モグモグモグモグモグ…コクン‥
 味なんて判らないっ。とにかく賢明に噛んで飲み込んだだけだっ。
 「ええ…おいしかったわ」
 自分でも、あたしってこんなに優しかったのかと驚いた。
 「よかったぁ。ユウ、ハンバーグにはちょっと自信があるんです。もし、せんぱい
  のお口に合わなかったら、味付け変えようかと思ってたんですけど、このままで
  いいですね」
 そう言って湧ちゃんは、あたしのかぶり残したハンバーグを、パクリと自分の口に
ほおばってゴクリと食べてしまった。
 こ、この子…ちょ、ちょっとヘン……
 「じゃ、こんどはウインナーでぇすぅ。ホントは湧、皮がないのが好きなんですけ
  ど、ママが、間違って皮付き買ってきちゃったんですぅ。せんぱいも皮なしの方
  が好きですよねぇ?」
 どっちでもいいわよっ。それよりこれも半分ずつ食べるつもりかしら……
 あたしが、律動する口唇で控えめに半分かじると、残りはやっぱり湧ちゃんが食べ
てしまった。
 うぅ……まさか、このお弁当…全部この調子で食べさせられるのかしら…
 どうもそのつもりらしかった。だって湧ちゃんは、無理して大きくお箸をひろげて
自分の食べる分も一生懸命つまんでいるんだもん…
 あぁ…これは新種のイジメかしら……せめてもの救いは、周りのカップル達が、二
人だけの世界に浸りきっていて、あたし達に興味を持っていないという事だけだった。
 「これは、せんぱい一人で食べちゃってください。ユウ、これ嫌いなんですぅ。で
  もママが健康にいいからって無理やり入れるんですよおぉぉぉ」
 あたしだって、梅干し嫌いなのにぃぃぃぃ!!
 梅干しをほおばって、しょっぱい顔になって涙をこぼしたあたしを見て、湧ちゃん
が、涙の向こうで、ケラケラセセラセラと無邪気に笑っている。
 あぁ…誰か助けてぇぇぇぇぇっ!!!!!

      −−第3章 おしまい!
           第4章 披露宴だよ! に、つづく…−−




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