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★タイトル (AJM ) 97/ 3/ 8 21:59 ( 31)
新選組異聞 <蒼き疾風> 天動編(第一回) 野原向日葵
★内容
天動編
<第一章>
(一)
江戸小石川、試衛館道場_____。
「よし、次!」
竹刀のぶつかり合いが、道場に響きわたる。指南役は、沖田総司であった。
早くして天然理心流を学び、今や免許皆伝の腕前と云う。そんな総司を、壇上から
道場主・近藤勇は頼もしげに目を細めていた。
そんな近藤の隣に、どかっと腰を下ろした男がいる。
「よぉ、歳。何処に行ってたんだ?」
「近藤さん、あんた知ってるか?」
「あ?」
「桜田門の大老襲撃」
「やったのは、水戸藩の連中だろうが。歳よ、まさか呆けちまったわけじゃあるめ
ぇ。だいぶ前の話じゃねぇか」
「そうだが。この間、藤堂が妙な話をしたんでな」
「ほう」
「それによれば、京屋と云う店に攘夷派の輩が出入りしてるらしい。大老を襲った
奴らも、出入りしていたとなると・・・、何かあると思ってもおかしくはねぇ」
近藤は、思わず黙ってしまった。
しかし、だからと云って一介の浪人に何ができると云うのだろう。勿論、歳こと土
方歳三もそれはよくわかっているつもりだった。
世は、幕末と云われた時代である。突然の異国船来航から、徳川三百年の平穏な時
代が揺すぶられていた。
しかし時代は容赦なく、彼らを歴史の表舞台に引き出そうとしていた。
その頃、両替商「京屋」に、一人の男が訪ねてきていた。
「よう、来てくださいましたな。清河さま」
「例の方の指示を聞こう」
「相変わらず、忙しないお人や。よろしおす。こちらへ・・・」
京屋はそう云って、清河を奥へと案内するのだった。