#4900/7701 連載
★タイトル (UYD ) 97/ 1/25 21:16 ( 28)
雑談日記 KEKE
★内容
角川文庫版の森村桂著「天国にいちばん近い島」を買ってきて今読んでいる。
面白い。この旅行記が書かれてもう三十年にもなるのに、まったく古びて
ない。去年の旅を書いたものですといわれても信じそうなくらいである。
ふつう、旅行記というやつは、ちょっと時間がたって読むと、まるで読むに
たえないものが多いものだが、さすがは森村桂、こんなすばらしい作品を
処女作で書いていたんだなあ。
森村桂は一時大ブームをまきおこした作家で、平台に彼女専用のコーナー
ができたというくらいのベストセラー作家だった。作品は平易で読みやすく、
ま、今の赤川次郎あたりを思い浮かべてもらえればわかりやすい。
いずれも彼女の体験をもとにしたエッセイ風の作品で、高級作文にすぎない
とかけなされたこともあったが、私は好きだった。読むとあかるくなり、
元気がでた。
その彼女も一回目の結婚の失敗で、離婚した後、実質的に筆を折ってしまった。
あれだけひとに夢や希望をふりまいておきながら、本人が夢も希望もない
ひとになってしまって、もうこれ以上書けません、というような理由だった
と思う。なにしろ、夢想家はだの思いこみの激しいひとなだけに、いったん
そう思いこむともう書けなくなってしまったのだろう。
私も、あれだけの筆力をもちながら、もったいないなとは思ったが、
ま、こういうことは本人の気持ちだからと、あきらめていた。
しかし、あらためて、こうして彼女の本を読むと、やっぱり力のあるひとだ
なと思う。ひとをぐいぐいひっぱりこんでいく、独特の感受性を持っている。
彼女が筆をおってもう二十年くらいになるのか。もっともそれ以降も
何作かは書いているのだが、いずれも彼女の今の仕事のお菓子に関係した
ものだけで、本格的な作品はひとつも書いてない。
もったいないねえ。