AWC 古事記 上巻 伊邪那岐命・伊邪那美命 二、二神の国生み(2)


        
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古事記 上巻 伊邪那岐命・伊邪那美命 二、二神の国生み(2)
★内容

 二人がタカマノハラについてみると、たまたまウマシアシカビヒコヂノカミ
が近くで、のんびりとひなたぼっこを興じていました。
 それは幸いと、二人はちゃんとした子供が生まれないことを兄に話します。
「要はちゃんとした子供が産めればいいんだね?」
 優しくイザナミノカミにいいます。
 イザナミが首を縦に振ると、
「それなら」
 ウマシアシカビヒコヂノカミは持っていた小さな袋から薄汚れたものを取り
出し、
「これは鹿の肩骨なんだけどね、これを……」
 別の袋から今度は木切れを取り出しました。
「この朱桜(ハハカ)の木を混ぜて、燃やすっと」
 そうウマシアシカビヒコヂノカミが呟くと、ぽっと混合物に火がつきました。
「ちょっと待っててくれ」
 ウマシアシカビヒコヂノカミは後ろで見守っていた二人に笑顔を向けながら
いいます。
 煙はゆっくりとタカマノハラにたなびいていきます。
 そうして一時ぐらいの後の煙が出なくなったころ、ウマシアシカビヒコヂノ
カミは燃えかすを丹念に調べはじめました。
「ふむ……なるほど……やっぱりそうか……」
「兄上っ、わかりましたか?」
 イザナキノカミがウマシアシカビヒコヂノカミにたずねます。
「たぶんね。お前たち、柱を回って初めて出会ったとき、イザナミから声をか
けたのかな?」
「え? はい。イザナミから声をかけましたが……。もしかして、やっぱりあ
れがだめなのですか?」
 と、イザナキ。
 ウマシアシカビヒコヂノカミは肯いて、
「ちょっとまずいね。……そうだな、もう一度同じ場所の柱を回って出会った
ら、たぶんちゃんとした子供が生まれると思うよ」
 二人の顔が紅潮します。
「ありがとうございます、兄上っ! イザナミ、いくぞっ」
 イザナキははしごの方へ駆けていきます。
「は、はい。兄上、ありがとうございました」
 イザナミも後を追っていきました。
「やれやれ、忙しいことだね……。さてと、そろそろ私も帰るとするか」
 ウマシアシカビヒコヂノカミは二人が駆けていったのと反対の方角へ、歩い
ていきました。




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