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★タイトル (MEH ) 94/ 1/24 1:21 (115)
悲しみから一夜明け週間チンポウ 恥骨
★内容
新装開店でございます。ところでうちださんの個人誌、届きましたよ。まずその
完成度の高さにオドロキ。装丁は素晴らしいの一言。あとは絵だなー。
その1>SFマガジン「リーダーズ・ストーリィ」にポスト予定
「よく学べワイアヘッド」
冬の事であった。ミラージュ・サイクル研究所員のオルカ氏は疲れていた。ちきしょ
ーばーろーめー、と心中あふれる憤りを少しでも緩和すべく、会社から帰る途中にあ
るトリップ・ストアに足を運び愚痴を一席。
「へい、らっしゃい」と言う威勢の良いかけ声とともに、オルカ氏は座席に案内され
ると、そこではトリップ仲間のクリッパー氏がどっかりと座っている。
「けっ。つまんねー会社でさ。情けねえやな俺は」
「ふーん。いっその事、辞めちゃえば?独立するとかな……。」
いつも愛想良く愚痴を聞いてくれるクリッパー氏が、今日も同じセリフをつぶやく。
こうして愚痴合戦は始まる。
「しかしな、どうしてこんなに仕事がきついんだろ。これほどコンピュータやロボッ
トが普及してるんだぜ、少しは休ませろよな……。」
「仕方がないさ。まだロボットどもには「創造力」が欠如している。最初の閃きが出
来るのはまだ我々だけだからな。」
「しかし……脳味噌がトロけるぜ。ミラージュサイクルについて、朝から晩まで考え
るんだからな。唯一の楽しみがバーチャル姉ちゃんとのバーチャルセックス。かーっ
情けねえ話だよホント」
「ばーろー、おまえの会社なんか、まだいいぜ。俺のジャック・インしている会社は
強烈なもんさ。まず朝の社員洗脳から始まって、一日中「ニュー・ビジョン」の編集
作業。こうやって話しているのが不思議なくらい、脳ミソ酷使さ。クスリで何とかもっ
てるけど」
「でも、給料が良いからなー。ミラージュ社の給料は恐ろしいくらい安いぜ。この前、
恒星間貿易船の造船所に行った時、初めてパワード・スーツの事故をこの目で見たよ。
粗悪品で有名なテコス社のパワード・スーツだ。ミラージュ・サイクルまで悪く思わ
れちまうんだよな、事故をおこすとさ。おかげでミラージュ社の株価は激安。俺らの
ボーナスはカットだってよ。まったく……!」
オルカ氏は、ためいきまじりに頭から伸びるワイヤーをいじりながらつぶやく。
「しかし、こんなワイヤーをつけるよう設定しやがってよぉ。すべてレオミュートど
ものせいだ、ちきしょ。」
「ホントホント。いくら俺たちが実験動物だったからって、遺伝子レベルで「ワイヤー
」組み込みするなってんだよな。おかげでどうだ、こんなクソ文明社会になっちまっ
た。」
クリッパー氏も彼の意見に同意した。
「まあ、偉大なる天才どもの発明って言やあ発明だがな……。」
オルカ氏は歴史に思いを馳せた。……わしらの文明は、創造主「レオミュート」の
動物実験から始まった。レオミュートは、サルの系列から進化した種族だ。その繁栄
ぶりは、彼らの残した多くの遺跡により偲ぶ事が出来る。レオミュートが組み込んだ
ジャック・イン遺伝子「ワイヤー」は、わしらの脳ミソを一気に拡大せしめ、ついに
わしら、全銀河を住処とするようになっちまった。
レオミュートは、水棲生物だったわしらを陸上でも住めるように品種改良した。
わしらが自我に目覚めはじめ、まだ労働階級だった頃、レオミュートどもは突然絶
滅してしまった……。
「ジャック・インばかりで遊ばないジャックはダメになるってね……。」
クリッパー氏はつぶやいた。
「レオミュートどもの格言だな。ハイスクールで習ったよ。やつらにも「ワイヤー」
があれば、知識のシェアが容易だったろうによ。」
オルカ氏もレオミュート学には興味があり、いろいろと学んだ。レオミュートの絶
滅原因には隕石衝突説、火山爆発説、氷河期説、飢饉説、と諸説あるが、最近の学説
では、彼ら自身で発明した細菌に犯されたとする説が有力である。
「まあともかく、彼らの歴史を振り返って自戒としようじゃないか。知は力なり。我
思うゆえに我不幸なり。知恵を与えてくれた、今はなきレオミュートどもに感謝しよ
うじゃないの。」
クリッパー氏の言にしきりにうなずきながら、完全に酩酊状態になったオルカ氏は、
ストレス解放のため、あらん限りの声で絶叫した。
「くそ忙しい仕事。くそ知恵を与えてくれたくそレオミュートに、カンパーイだ、く
そ!」
その2>週刊SPA!編集部に送付・ファンレター
拝啓、はじめてファンレター的なものを書きます。『ゴーマニズム宣言』二巻、購
入し、堪能しました。しかし気になるのは「天皇問題」に触れたボツ原稿。『ゴー宣』
編集者氏、もし読んでいたら、何とかならんものですかね。あーた、この『ゴー宣』
は言っちゃなんですが、歴史に残るべき書でありますよ。(ほんまかいな)将来教科
書に載るべき作品であると確信しております、はい。
三巻に載らない、なんて事になったら、ほとんど「恥さらし」です。なお、小林よ
しのり氏・及び編集氏、その天才性のゆえ、「スキャンダリズム的手法で購買者を増
やす作戦なのよん。へけけーっ馬鹿な読者!」なんてワケではありませんよね。信じ
ております。
えー、ところで、これだけ書くだけだと芸が無いので、スキマ埋めに、よしなし事
を書きます。何と言っても小林よしのり先生の『ゴー宣』は面白い。どこが面白いの
かと言うと、私もよーわからんのですが、かつての私小説などにも通じる独白形式、
これが絶妙に良いですね。先生がインポになった事を告白した部分では、拍手喝采を
したくなりました。これこれ、こう言うのを読みたいのだ。言うなれば私マンガ。ア
シのみなさんも頑張って下さい。菓子くらい差し入れしますってば。
そして読者の声が反映される点。これは、現在ニューメディアで騒がれている「イ
ンタラクティブ」の先取りではありませんか。さらに漫画論(?)の立場から見ると、
かつてハシラのところに書かれた「XXちゃーん、お料理どうもねっ」とか「助っ人
XX、サンキュー」とかあるじゃないですか。あれを拡大してマンガにしてしまった
と言う見方も出来ると思います。
さらに思想の書として読むのも一興でしょう。ゴーマニズム。響きは良いのですが、
先生の場合は本当の意味でのゴーマニズムでは無い。ヒューマニズムに裏打ちされた
ゴーマニズム、と言った趣でしょうかね。政治家、権力者には恐ろしくゴーマンかま
しちゃってる人がおりますが、先生の説くゴーマニズムは、そのようになれ、と言っ
ているのではない。繊細な一漫画家(芸術家)、弱者の視点から叫ぶ、権力を敵にま
わした「ゴーマン」。言うなれば、権力にゴーマンかましているところがポイントで
すね。
さて、あれこれ書きましたが、結論です。随分ヨイショ文章に満ちあふれてしまっ
たが……まあ良いっす。結論、私はガロ買いそびれたんじゃから、三巻に例の話が載っ
てくれないと困るんじゃ!と言う事で、よろしくお願いしますね。
1994年1月21日
闇嶽骸骨