#1327/1336 短編
★タイトル (SGH ) 01/08/31 19:55 ( 63)
毒舌ニュース 沖田珂甫
★内容
『売り上げ激減のIntel社 「本業で挽回」と自らを鼓舞』
Intel副社長兼プロセッサ事業部長のGabi Singer氏は、米サンノゼで開催している
Intel Developer Forum Fall 2001 (IDF)の4日目(現地時間2001年8月30日)、
「Enterprize Technologies - Innovations and Directions」と題した基調講演
を行った。
この中でSinger氏は、IntelのIA-64(64ビット)アーキテクチャ・プロセサ
「Itanium」ファミリ・ロードマップの概要を発表し、今後IA-64プロセサは1年ごと
に世代交代していくことを明らかにした。
既存のソフトウエア、ハードウエア資産の流用を妨げ、製品寿命を短縮して買換え需
要を促進し売上を確保することが主目的であり、ハードウエアバグが問題化する前に
次世代製品に引継ぎ、批判を回避するという意図も含まれている。現在のPentium4で
採用されており、また初代Pentiumでも採られた、次世代PCへの既存資産の継続使用
を不可能にすることで周辺企業の需要も喚起するという、
「企業に優しく、消費者に厳しく」
という従来の戦略を踏襲したものである。
ハードはあるがその機能を使えるOSが無いために売上が伸び悩むという過去の轍を踏
まぬよう、Microsoft社へ協力を要請している。これを受けてMicrosoft社では「デバッ
グなんて売上に貢献しない作業は規模を縮小して、新たな製品開発に注力していく」
との姿勢を示しており、WindowsMEのSPを提供しないままWindowsXPをリリースする
など、Intelに全面的に協力する方針である。
まず、2002年にはItaniumの次世代品「McKinley」を出荷する。採用する製造プロセ
ス技術は0.18μmで、CPUチップに集積する3次キャッシュ容量の違いによって、バック
エンド・サーバー用(3Mバイト)とミッドレンジ・サーバー用(1.5Mバイト)の2種類
を用意する。なお、現Itaniumは、CPUチップとは別チップで2Mバイトまたは4Mバイト
の3次キャッシュを搭載している。McKinleyに集積する3次キャッシュ容量は少なくな
るが、CPUチップに集積することでキャッシュへのアクセス時間が短くなる効果がある。
2次キャッシュ容量は96Kバイトから256Kバイトに増えた。
CPUコアに集積する整数演算器を6個(現Itaniumは4個)に増やすとともに、二つのロー
ドと二つのストアを同時実行できるようになった(現Itaniumはロードを2個またはスト
アを2個同時実行)。演算器に対して同時に発行できる命令数を9個から11個に増やす。
動作周波数は800MHzから1GHzに引き上げる。
外部バスのデータ・バス幅は64ビットから128ビットに広げ、同期周波数も266MHzから
400MHzに引き上げる。これによって、外部バスのデータ転送幅能力は2.1Gバイト/秒か
ら6.4Gバイト/秒へ大幅に高くなる。
これらの強化によって、McKinleyは現Itaniumと比較して1.5〜2倍の性能向上を見込め
るという。現Itanium用にコンパイルしたSPECint 2000のコードをMcKinley用に再コン
パイルせずにMcKinleyで実行しても、1.7倍性能が向上するとしている。
現ItaniumからMcKinelyに移行するには、パッケージが異なるためMcKinley用のマザー
ボードを必要とする。しかし、2003年に登場予定のMcKinley次世代プロセサ
「Madison(開発コード名)」は、McKinleyと端子互換になる。これによってM/Bメー
カーでの設計作業の軽減が図れ、Itanium用のチップセットとの互換性は機能を制限さ
れるという仕組みであり、Microsoft社との連係により新機能を組み込むことで消費者
の買い替え需要を促進する。
チップセット供給メーカーであるIntelとM/Bメーカー、OSを提供するMicrosoftにとっ
てはメリットがあるが、消費者の利益は皆無となる見通し。「端子互換」という表現は、
あくまでも消費者の批判をかわすための方便である。Madisonは0.13μm技術を使って製
造することで、集積する3次キャッシュ容量を3M/6Mバイトに増やす。
2004年にはMadisonの次世代品を投入する計画があり、マルチスレッド技術やマルチダ
イ技術を採用する予定。
このIntelの基調講演について、他のプロセッサメーカー(AMD、VIA)は「従来通りの
消費者を無視した戦略であり、我々の対応に特に変更は無いがMicrosoft社へは釘を刺
すつもりである」との非公式なコメントを出したらしい。