#1302/1336 短編
★タイトル (AKM ) 01/01/18 00:20 ( 27)
顛末
★内容
やあ、みんな。
今日、ぼくたちは結婚することに決めたよ。
ぼくたちはがっちりと指と指を絡ませ、水平線から昇る太陽を熱
い眼差しでともに眺めたというわけさ。はっはっ
ぼくたちは高校生さ。ぼくたちは出会って三日になる。誤解を招
く恐れがあるので少々付け加えるが、ここで言う三日というのは真
の出会いから今日までのことさ。それまで、ぼくたちは、クラスメ
ートとして半年間、同じ教室に机を並べていた。これからぼくたち
の三日間を語ることにしよう。いや、三日間というのも正確でない。
「出会いから結婚を誓うまでの顛末」これを語ることにしよう。
三日前、ぼくはその頃【ああ、三日前のことが遥か昔に感じられ
る。】人生の一大痛恨事に見舞われ、その生キズからは、眩しいほ
どの鮮血がとめどなく溢れていた。羞恥、憤怒の情、復讐したくて
も出来ない非力感、復讐へと向かう欲求と渇望、ぼくは亀だった。
二度と手足、頭までも甲羅から突出しないことを神に誓った亀だっ
た。
【しかし、ぼくはその一大痛恨事について語ることはしないこと
にするよ。もはや、それらのものは、ぼくの表層状では全くぼくと
和解しているからさ。今のぼくにとっては取るに足り無いものとい
うわけさ。】
万物をギラつかす太陽、アスファルトの温気、草木の気違いじみ
た繁盛、ぼくはそれらのものを全て歓迎していた。その日の夕刻、
ぼくは夕立に見舞われた。その大粒の雨も、ぼくは例に漏れず歓迎
した。ぼくは雨の中を一歩一歩冷静に歩を進めるたびに昂揚してい
った。
つづく