AWC 詩>春のなかで               κει


        
#1033/1336 短編
★タイトル (WJM     )  98/ 4/24   1:16  ( 96)
詩>春のなかで               κει
★内容




              疲れるとあなたが

              ぼくをささえてくれます

              薄いセーターごしの

              あなたの香り


              春の光がたくさんの蝶のように

              ちらちらと舞っていて

              ぼくの頬にもおちます


              やわらかい指先が

              ぼくの髪をゆっくりととかし

              ふと顔をあげると

              あなたの微笑みがありました


              夢と現実とのさかいで

              ぼくのなかの何かが静かに

              とけてゆくのを感じます



                  ○



              ぬくもりが夢となり

              夢が明日となり

              明日が風となり

              未来を巡って

              あなたへとかえる

              それを受けとめるあなたの

              掌が

              いまもう一度

              ぬくもりにかわる



                  ○



              あなたは木漏れ陽のように

              掴みどころがないから

              綺麗に洗った右の手を伸ばしても

              そのあいだから

              光の粉を漂わせるように

              するすると抜けてゆく

              たまらなくなるから

              ぼくは

              はっきりとしない意識のなか

              両手を広げて

              あなたの体を

              抱きしめよう







                           .. κ ..




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