AWC おいら旅人  KEKE


        
#284/1336 短編
★タイトル (UYD     )  94/ 8/10   7:26  ( 22)
おいら旅人  KEKE
★内容
 普通のひとにとって旅とは単なる気晴らし、楽しみ、いわゆるホ
リディであろうが、私にとってはそうではなかった。それは人生そ
のもの、いや人生以上の何かであった。一生を賭けて悔いないもの、
目標といったものであった。

 それが精神病の発病とともに旅をすることが不可能になった。今
現在診断と薬をもらうために月一回病院に行っている。ということ
は、私には一月の旅しかできないということなのだ。一月の旅では
どうやってもホリディ以外なりようがない。人生以上の旅になるに
は最低一年、できれば行ったきり五年も帰らないというようなもの
でないと、そんな旅になるのは無理なのだ。こうして私にとって旅
が失われた。一生旅人でいようという私の目的は見失われることと
なった。

 これがこの十年私が唖然とすごした理由である。旅に替わるほど
の目標が発見できないままこの十年を過ごしたわけなのだ。もちろ
んいろいろやってはみた。小説を書くことだとかパソコンだとかオー
トバイだとか。でもどうしても旅ほど熱中することができなかった。
おそらくこれからも発見することはできないだろう。

 一生旅人のつもりでいたのに、いつのまにか狭い牢獄の住人になっ
たいた。これが私の悲劇である。




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