#3577/5495 長編
★タイトル (BYB ) 96/12/13 20: 0 ( 82)
雪原のワルキューレ24 つきかげ
★内容
に輝いている。
そして二人の魔族は再び立ち上がった。血塗れの傷口は塞がりきっていないが、もと
に戻るのは時間の問題と思われる。
ケインは、目の前が暗くなるのを感じた。これで復活されては、打つ手がない。
「くそっ」
ゲールは、30ミリ口径の火砲を、肩付けする。6連の輪胴型弾倉が、付けられてい
た。ゲールは引き金を引く。
轟音が二回響き、榴散弾が発射された。二発とも、まだ十分に動くことのできない魔
族の顔面に、命中する。
魔族の頭部が破裂し、真っ赤な飛沫がとぶ。再び魔族は、血の中へ倒れた。幾度か体
が痙攣する。
「やったか?」
ケインが期待を込めて呟いた言葉を裏切るように、顔を失った女達は再び立ち上がろ
うと、動きだす。
「こりゃあ、残る手は一つしかないな」
ジークが呟き、ケインが問いかける。
「なんだよ、そりゃ」
「とりあえず、ここから逃げよう」
「もっともだ」
ケイン達は、部屋の奥へ走り、扉を開くと、回廊へ飛び出した。真紅のカーペットの
敷き詰められた廊下を、走り抜ける。
幾度か、角を曲がるうちに、方向感覚が無くなってきた。ケイン達は、十字路で立ち
止まる。
通路の天井は、とても高い。所々に、光輝く照明がある。それは、人間の女性の頭部
を、模して造られていた。夢見るように瞑目した女性の頭の彫像が、目映い光を放って
いる。
ジークがその一つに、近づく。熱はあまり感じられないが、光はけっこう強い。「光
石だよ、それは」
ゲールが声をかける。
「一種の鉱物生命体だね。半永久的に輝き続ける、古代の生き物だ。おれも見るのは初
めてだが」
「そんなことより、」
ケインが言った。
「どちらへ行くんだ、おれたち?このナイトフレイムの地図は、持ってないのか」 ゲ
ールは、肩を竦める。
「財宝は、下層部にあるとしか聞いてない。下りの階段を探そう」
「できれば、」ケインはうんざりした顔で言った。「魔族は、さっきの連中だけであっ
てほしいな」
「気配が感じられないところをみると、そう沢山いるわけでもあるまい」
ゲールはどちらかといえば、期待するように言った。
「まあ、要領は判ったじゃん」ジークが気楽に言う。
「戦闘力を奪って、2・3発打ち込む。そして、ずらかる。簡単さ」
ケインは、ため息をついた。ジークの言う通り、今度あったら、さっきと同じことを
するしかない。
「行くか」
ケインが声をかけ、3人は歩きだす。
下りの階段は、意外にすぐ見つかった。真っ直ぐ降りる階段を、ケイン達は下る。降
りた所は、大広間のになっていた。
「おい、」ゲールが、絶望的な声を出した。「嘘だろ」
そこには、十人以上の魔族の戦士達がいた。一人残らず、漆黒の肌の上に銀の鎖帷子
をつけ、抜き身の剣を提げている。
その天空に輝く満月のような瞳が、ケイン達を見つめた。黒曜石の彫像のごとき、漆
黒の屈強の肉体からは、闘竜のような生命力に溢れている。そして彼らの周囲から、ぞ
っとするような瘴気が漂ってきた。
「ふっ」金色の髪をかき揚げた魔族の戦士が、蔑みの笑みを見せ、呟く。「戦いの前に
、家畜が迷い込んできたようだな。とりあえず、腹ごしらえとするか」
奈落の底のような闇色の顔に、野生の獣のような、高貴で美しい笑みを浮かべ、その
戦士は一歩踏み出す。
ゲールが絶叫し、走りだした。火砲が火を吹く。その榴散弾は、上方へ逸れた。膝を
つき、うずくまったゲールの背中から、