#2902/5495 長編
★タイトル (AZA ) 94/12/29 8:28 (191)
優しい事件 3 永山
★内容
りぃだぁずぼいす
推理研に寄せられた一言感想。そんな読者の声を、一部掲載します。
(今回は学園祭に来ていただいた方のアンケート結果を優先しています)
クイーンの国名シリーズの向こうを張ったような「トルコ石付き刀の冒険」、
興味深く読めました。本家のように、解決編でうならせてもらえるかどうか、
お手並み拝見。(通りすがりのミステリマニア 男 二十八歳)
「大阪で生まれた探偵」の作りに笑わされた。全編会話、しかもほぼ全てが
関西弁とくれば、笑わずにおれるか! ネタ自体は平凡だけど。(高校生 男
十七歳)
見た目はコピー誌でみすぼらしい?けど、読んで、いっぺんに好きになりま
した。これまでのも合わせて三冊、じっくり読みたいと思います。(女 年齢
不詳)
ママ
難波幸司さん、栗本大介さんのお二人に会ってみたーーーい! 難波さんは
美味しいミルクティをいれてくれそうだし、栗本さんは優しそうな感じ。でも、
栗本大介って栗本薫と伊集院大介の……?(いい男大好き! 女 十四歳)
※「江戸川乱歩殺人事件」に対する苦情をくださった方へ。まことに申し訳あ
りませんでした。
1992年のベストミステリー 推理研一同
今年、日本国内で発行されたミステリー・推理小説を対象にして、我が推理
小説研究会独自のベストテンを選出しようという試みです。そこいらの週刊誌
がやってるほど、ポピュラーな企画ですか、それだけやってみたくなる物でも
あります。
まず、決めなければならないルールとして、今年のミステリーとは、どこか
らどこまでを指すのか、です。真の意味で今年のミステリーを議論するのなら
ば、十二月三十一日まで待たなければならない。が、本稿は十二月十日の時点
で書かれているという事情があり、それに沿った範囲を設定せねばなりません。
そこで、来年からのことも考慮し、去年の十二月一日から今年の十一月三十日
の間に発行された、全てのミステリーを対象にすることとします。
次に、どのように選出するか、です。初めての今年は、JICC出版から出
ている「このミステリーがすごい!」の方式を採ることにしました。つまり、
各部員が1〜6位まで推薦できるミステリーを選ぶ。1位には6点、2位には
5点、……、6位には1点という風に換算し、集計するという訳です。(あま
りに偏った結果が出るようでしたら、集計方法は変更する予定があります)。
では、各部員の投票から明らかにしていきましょう(順不同)。
香田利磨
1.ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾 講談社
2.殺戮にいたる病 我孫子武丸 講談社
3.眩暈 島田荘司 講談社
4.黒猫館の殺人 綾辻行人 講談社
5.ななつのこ 加納朋子 東京創元社
6.双頭の悪魔 有栖川有栖 東京創元社
1位は文句なし。注意に注意を重ねて読んでいたのに、真相を明かされたと
きの驚きは衝撃的でした。
2位もラストで、それまでの世界がひっくり返る。**に関する妙な描写が
気になってはいたけど、やはり騙されてしまった。
3位、本格ミステリーの大御所、恒例の御手洗シリーズ。現実に解決できる
のかっていう謎が、これでもかこれでもかってほど出てきて、嬉しい。
4位は館シリーズ。仕掛けられた「大技」がいい。3位の「眩暈」とトリッ
クが重なったのは偶然だと思う。
5、6位は東京創元社勢。「ななつのこ」は構成が素晴らしく、また情緒的
な作品。「双頭の悪魔」は、有栖川作品の集大成とも言うべき傑作。
本山永矢
1.哲学者の密室 笠井潔 光文社
2.三位一体の神話 大西巨人 光文社
3.キッド・ピストルズの冒涜 山口雅也 東京創元社
4.吸血の家 二階堂黎人 立風書房
5.惨劇の村5部作 吉村達也 徳間書店
6.眩暈 島田荘司 講談社
1と2はともに大作。長すぎてつらい面もあるけど、読みごたえ充分。ただ、
値段の方、どうにかなりませんかね。
3は論理のアクロバットが楽しい。4はデビュー作の「地獄の奇術師」がち
ょっと期待外れだった分、本格興味を満たしてくれた。
5はただただ、作者の他作ぶりに驚愕。6は、御手洗物は好きなんだけど、
今回は強引さが強すぎたかなということで。
SATOMI
1.双頭の悪魔 有栖川有栖 東京創元社
2.46番目の密室 有栖川有栖 講談社
3.殺戮にいたる病 我孫子武丸 講談社
4.奇想の復活 鮎川哲也・島田荘司編 立風書房
5.火車 宮部みゆき 双葉社
6.死人にグチなし 黒崎緑 東京創元社
誰が何と言おうと、有栖川を推す。1位はこれまでの最高傑作。ぜひ、映像
化を。2位は、密室に未来はないと知りながらもあきらめきれない本格派作家
の苦悩という感じ。
3位の作品、我孫子武丸がついに新境地を切り拓いた。めでたい。
4位はアンソロジー。こういうことやってくれる間は、島田荘司も元気だ。
作品としては摩耶雄嵩「遠くで瑠璃鳥の鳴く声がする」が一番。
5位は巷で大うけの「火車」。小説がうまい。本格派でこれだけ書ける人が
たくさんいればいいんだけどねえ。
6位。この人がデビューした頃、まさかこんなタイプのミステリーを書くと
は想像もできなかった。化けてくれて嬉しい。
玉置三枝子
1.火車 宮部みゆき 双葉社
2.奇想の復活 鮎川哲也・島田荘司編 立風書房
3.ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾 講談社
4.ダレカガナカニイル… 井上夢人 新潮社
5.六の宮の姫君 北村薫 東京創元社
6.哲学者の密室 笠井潔 光文社
やっぱり「火車」を認めない訳にはいかないでしょう。これを超える本格作
品がなくて残念。
「奇想の復活」は作品の出来にややばらつきがあるものの、優れた短編本格
ミステリーが詰まっていて、楽しませてもらえた。この企画は続けてほしい。
「ある閉ざされた雪の山荘で」は、叙述トリックの勝利。アンフェアなんて
言う人達が信じられない。東野圭吾がこの手の作品をもっと書いてくれれば。
「ダレカガナカニイル…」、岡嶋二人解散後、その片割れの井上夢人が復活
したことを祝して。この人だからこそ、面白く書けた?
「六の宮の姫君」は、私もそろそろ卒論を意識し始めたためか、興味深く読
めました。(苦笑)
「哲学者の密室」。世界最長の密室ミステリーということで、重量感のある
ハードカバー。重たい思いをして読んだ価値はあって、迫力あり。
剣持絹夫
1.黒猫館の殺人 綾辻行人 講談社
2.眩暈 島田荘司 講談社
3.ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾 講談社
4.黒白の十字架 吉村達也 天山出版
5.ダブルキャスト 御坂真之 新潮社
6.銀河列車の悲しみ 阿井渉介 講談社
手品を見せてくれる物ばかり選びました。
「黒猫館・」は雄大なトリック、「眩暈」はこの世のものとは信じられない
不思議な謎、「・雪の山荘で」は最高の叙述トリックに感動。これらが融合し
てくれればもっと凄い?
「黒白・」も叙述トリック。でも、意味が違う。本邦初の横書きミステリー
にひそむ意味がよかった。
新人にしては奇術的なミステリーを堪能させてくれた「ダブルキャスト」。
島田荘司の推薦の甲斐があったというもの。
なかなか認められない阿井渉介の「銀河列車の悲しみ」。美しい謎はいいけ
ど、解決の仕方が強引。そこさえ直せば……。
木原真子(コメントなし)
1.死んでも死ねない殺人事件 風見潤 新潮社
2.三毛猫ホームズのフーガ 赤川次郎 光文社
3.迷犬ルパン・ハウステンボスを走る 辻真先 光文社
4.シンデレラ症候群 栗本薫 新潮社
5.横浜ベイサイド殺人事件 斉藤栄 徳間書店
6.死人にグチなし 黒崎緑 東京創元社
奥原丈巳(コメントなし。「眩暈」未読が気がかりとのこと)
1.ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾 講談社
2.火車 宮部みゆき 新潮社
3.ふたたび赤い悪夢 法月綸太郎 講談社
4.黒猫館の殺人 綾辻行人 講談社
5.六の宮の姫君 北村薫 東京創元社
6.水上音楽堂の冒険 若竹七海 東京創元社
集計するにあたって、まず、二人以上の支持を集めた作品を優先した。つま
り、一人だけが1位に推して6点を獲得した作品よりも、二人に6位とされて
二点を獲得した作品の方が上位に来ることになります。
さて、我が推理研選出による、記念すべき第一回年間ベストミステリーの結
果は……。
作品 作者 出版社 得点(得票)
1 ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾 講談社 20(4)
2 火車 宮部みゆき 双葉社 13(3)
3 黒猫館の殺人 綾辻行人 講談社 12(3)
4 眩暈 島田荘司 講談社 10(3)
5 殺戮にいたる病 我孫子武丸 講談社 9(2)
6 奇想の復活 鮎川哲也・島田荘司編 立風書房 8(2)
7 双頭の悪魔 有栖川有栖 東京創元社 7(2)
7 哲学者の密室 笠井潔 光文社 7(2)
9 六の宮の姫君 北村薫 東京創元社 4(2)
10 死人にグチなし 黒崎緑 東京創元社 2(2)
ご覧の通り、1位は「ある閉ざされた雪の山荘で」になりました。うーむ、
これは春先にこの小説が出た際、部員みんなが参ってしまったのが原因かと。
2位は、うちにしては珍しい(と思われる)、非本格派の作品。まあ、宮部
みゆきの巧さは定評のあるところで、妥当と言えましょう。
3位「黒猫館の殺人」〜7位の「双頭の悪魔」まではずらりと本格派が並び
ました。これこそ、うちの特徴をよく表しています。
「哲学者の密室」は、そもそも部員の中で読んだ者が少なかった? 出版社
も世界最長なんてキャッチフレーズなんかにこだわらず、作家の書きたいよう
にさせてほしい。
9、10位は女性作家。強い支持は得られなかったものの、複数の得票があ
ったところに、この二人の作品のタイプを見た気がします。
という訳で、曲がりなりにも独自のベストテンができました。まことに小規
模、読書量もたかが知れていますが、ある程度特徴の出たリストになったと満
足しております。
皆さんのベストテンもお知らせ願えれば、楽しいかもしれません。次回は読
者の回答も募るのがいい、というアイディアも出されました。
でも、今年のベストテンに対していちゃもん着けるのだけは御免。これは我
が推理研の独断のベストなんですから。個人個人にベストがあって当然なんで
す(と、「このミス」の口上を頂戴してしまった)。
−−−続く