#2753/3137 空中分解2
★タイトル (AKM ) 93/ 1/29 4:10 (109)
☆変な女からの電話☆ ワクロー3
★内容
仕事がくそ忙しい時間に電話がかかってきた。それも自分の部で
はなく隣の部にかかってきたというのだから、なんということか。
取り次いでくれた人がこう言った。
「それが、ちょっと変な電話なんです」
「なに、それ」
「年が30代の人で****(僕の本名)さんいますか?。そうかか
ってきているんです」
「なんじゃ、そりゃ」
僕の本名はありふれた名前なので、同じ会社に同姓が六人いる。
しかし、その中で30代といえば僕しかいない。
「女性なんですけど、なんか変。とにかく代わってもらえません
か」
隣の部の人が僕を案内して受話器を手渡す。とにかく時間がない。
電話なんぞに応対している暇はないのだが、気になるので出てみる。
「はい。代わりました」
「****さんですか?」
「そうですけど。どなたですか」
僕の質問には答えずに、いきなり自分の質問を継いでくる。
「先週の金曜日に高宮駅でお会いした****さんですよね」
「金曜日ですか。何時ごろ?」
「夜です。午後八時から」
まったく心当たりがない。その日は仕事をしていたので完全にア
リバイがある。名前違いで別の****ではないのか。
「違いますね。人違いでしょう、僕は金曜日会社で仕事していま
した。高宮には行っていません」
きっぱり答えたので電話を切り上げようとしたら、すかさず
「あ、やっぱり、そうでしょ。だって話し方が似てるもん」
と言われてしまってすっかり調子が狂ってしまった。似てるもん、
といわれても困る。
「残念ですが、人違いです。会社には****という名前の人がたく
さんいますから、僕でなくてほかの****さんの可能性はありますが、
少なくとも僕でないのは確かですね」
「けっこう冷たい言い方するんですね」
つめたいもなにもない。ああー、はよう切り上げないと、時間が
なくなってしまうではないか、暇なときなら、なんぼでも相手をし
よう。相手を捜してやってもいい。しかし、今だけは勘弁してもら
いたい。あと15分しかないのだから。
「あの。いま忙しいんです。申し訳ないけど、切っていいですか」
「本当にあの時の****さんじゃないんですか?話し方が本当に似
ているんです」
「その高宮で会った****さんは、自分で****会社の****と名乗っ
たんですか」おせっかいにも尋ねてしまった。
「はい。そういいました」
「名刺とか貰いましたか?」
「いいえ」
「その日会ったのが初めてだったんですか」
こうなりゃ、やけ糞である。どんどん聞き出したる。
「はい。駅で会って、お茶を飲んで」
「会ったその日にですか。そりゃ、ナンパされたということです
ね」
「はあ、そうですね」
そうですねーじゃないよー。俺はあんたをナンパもしてないのに、
なんでそのとばっちりをかぶって、電話で時間つぶさないかんねん。
誰か****の名前でもって、こいつをナンパしやがったのかな。
「とにかく僕じゃありません。その日は仕事でしたから」
「あやしいなあ」
あ、あ、あのねえ。残り時間が十分を切る。最も忙しい時間に机
の前を離れているので、遠くから上司の視線を感じるではないか。
もう、これ以上は相手はできん。
「それで、申し訳ないけど、いまとっても忙しいんです。とにか
く僕ではないことだけは、はっきりしています。他の****さんたち
は、みんな40代以上なので、あなたが捜している****さんは、う
ちの会社にはいないと思いますが。それじゃ、また」
いつもの癖で、それじゃ、また。なんて言ってしまって、電話を
切った。
あー、なんてえ変な一日なんだ。変な女だったなー。誰だろうな、
けしからんナンパ野郎は!
変な電話で変な女だったなあ。一日たって再び会社にやってきて、
机につくなり思い出していると、隣の部の人が僕を大声で呼んでい
る。
「****さーん、電話ですよー」
ふと、いやな予感がした。
(以下次回)