AWC 続続続続続続続続続 【聖戦の道】押せば進むよよい車の巻


        
#2746/3137 空中分解2
★タイトル (AKM     )  93/ 1/26  13:35  ( 88)
続続続続続続続続続 【聖戦の道】押せば進むよよい車の巻
★内容

続続続続続続続続続 【聖戦の道】押せば進むよよい車の巻






 一方通行の大義を貫いて、凱旋行進せんとした友人Pの自動車は、
人間どもの意地と面子の対決にあきれ果てたかどうしたか、エンジ
ンがうんともすんともかかってくれません。


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 Pは、小声で弱気に言いました。

 『あれ、積んでないんだ。あのブースターちゅうたっけ、電力を
吸い取る道具...』

 こ こいつは、いまさら相手の誰かに頭下げてバッテリーに電気
を注入して貰おうと考え始めたのか。今までのくそ意地はどうなる
のか。

 笑いもんになるだけやないか。

 『ばかたれ、いまさらあいつらに頭下げられるか。おそうぜ。降
りて押そう。そっちの方がまああだましや...』

 『そ、そうやな...』

 幸いなことにオートマチック車でなかったので、うんとこしょ、
やっとこしょと押せば、進むよ便利な車、額に汗してさあ押そう

 二人で車を降りて、ひた押しに押しました。

 車というのも、動かなければ、ただの無意味な鉄塊です。Pは運
転席のハンドルを維持しながら、僕は後部に回ってひたすら押しま
す。

 重たい、きついと愚痴はこぼせません。

 沿道から、僕らの『悲惨な勝利のありさま』を無言でじっと見送
る、幾多のドライバーたちの視線を感じました。

 誰も手伝ってはくれません。ざまあみろと思っているのか。はた
また『譲り合いの精神を欠いた傍惹無人の振舞いの、あれが悲惨な
末路だ』と、南無阿弥陀仏。手を合わせているのか、それはうかが
いしれません。

 半分は恥ずかしいので、なるたけ急ぎ足に、押しました。

 道路が比較的平坦だったので、思うよりも快調に、この忌まわし
い一方通行の道を抜けでて、広い場所に出ました。

 僕らの通過を見送ると前後して、渋滞していた車両は順次、消え
て行きました。この日のできごとの発端になった(本人にはその自
覚は最後までなかったかもしれません)タクシー運転手も、このト
ラブルの劇的幕引きを演じた「国産高級乗用車」もすでに、姿はあ
りません。

 さらに後続する車両も、なにごともなかったかのようにその場所
を通過して行きます。パトカーも、そうして強力な友軍だったベン
ツ560SELもいなくなりました。おっさんはどうなるのか。い
ささかは気がかりです。

 ほどなく僕らは、近くのガソリンスタンドから、別の車を乗り付
けてもらって『電力を吸い取って←あれをなんというのかわからな
い』エンジン
を起動させて、当初の目的地へと前進しました。

 長かった道のり。『不二屋/ぺこちゃんハウス**店』にはPの
婚約
者が、待っていました。

 『遅かったねー』

 テーブル上の彼女のアイスコーヒーは、すでに氷だけになってい
ます。

 『バッテリーとまっちゃってね』

 説明が面倒なためか、無用な心配をかけまいとしたか。Pはそれ
だけ言うなり、『俺は、帰ったらビール飲むから、水でいいです』
とでかい声で店員さんに『注文』しました。

                    (以上完結)





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