#2733/3137 空中分解2
★タイトル (TEM ) 93/ 1/19 20:55 ( 54)
夢の王国 うちだ
★内容
←その夜→
実在しない私の彼が、その夜教えてくれました。
「今、暮らしているここは、今まで暮らしていたところではないんだ。」
人が眠っている間に、地球の表面にはりついていた人や家がすべって、そら
の果てまで落ちてしまった、と。(この場合浮くというのか?)つまり彼と私
が話しているこの場所は、今までと同じような建物があったりするけど、そら
の果てだと。実在しない彼は言いました。私も“何か変だなー”とは思ってた
んだけど、まさかそんな大異変が気付かないうちに起こっていたなんて。
なかなか信じない私に“その証拠”と、彼はとん.と踵をけってそらへ飛び
込んで見せてくれました。そのあと私にも飛び込み方を教えてくれたので、二
人でそらの向こうまで落ち合って今まで暮らしていたはずの場所を見てきまし
た。人も家もほとんどがそらの果ての方におっこちてしまったせいで、地表は
ほとんど廃墟と化していました。
「少しだけのこってる。あれってビルとかかな。」
「静か」
「・・アパートって、蜜蜂の巣みたい。」
彼と私はふわふわと漂いながら、海底に沈んだ都市のような白くくすんだ廃墟
をしばらく眺めていました。気持ちよかった。
→次の夜←
昨夜のことをどこで聞き付けたのか、実在しない兄が
「そらに飛び込むなんてけしからん。そんな危険思想の持ち主とつきあっては
いけない。」
といいだしました。兄は昔の『ムーミン』に出てくるノンノンのお兄さんを人
間にしたような口うるさい人で(おまけに巻毛で長髪だ)、彼のことを
「実在しないくせになまいきだ。」
と目の敵にしていました。私は、お兄さんだって実在しないくせに勝手だなぁ
と思って相手にしなかったのですが。でもお兄さんが彼を逮捕しようと仲間と
探しまわるので、彼はどこかへ身を隠してしまいました。私はすごくくやしく
て「お兄さんとはもう口をきかない」とフテ寝をしていました。
布団の上で背中を丸めて寝ていると、背中を丸めすぎたせいか背骨の骨が1つ
取れてしまいました。
“うわぁ変な感じ”と目を開けた私の枕もとに、彼がたっていました。
「今までどこにいたの?」彼は私の背骨を階段にして登ってきて、さっき骨が
抜けたところから私の体内に入っていたんだと説明してくれました。(大きさ
の問題はありますが、そのときは理論的に納得した)それじゃあ遠くに行って
しまった訳ではなし、いつでも会えるからうれしいなぁと私は思いました。兄
が来るので、彼はまた背骨の階段を下りて帰りました。骨が1つ抜けたままだ
ったのが兄に見つかるとまずいので、私は背筋をしゃんとして背中にある入り
口を見付けられないようにしていました。兄はうすうす感づいていたのか、い
つもにまして口うるさいのでした。抜けた骨は私の枕元にあり、エビのような
形をしていました。
おわり
この話は一年くらい前にかいたものです。昔ほんとにみた夢。
フロッピーを整理してたらでてきたので。