#2650/3137 空中分解2
★タイトル (AKM ) 93/ 1/ 7 1:43 (111)
続続▼聖戦の道▼ 激激突突7対1の巻 ワクロー3
★内容
続続【聖戦の道】 激激突突7対1の巻
『前回までのあらすじ』車4台を向こうに回して、大義を貫いた
ら、どんな運命が待ち受けていたのか。世の中は時として、理不尽
だらけの真っ暗闇でもあるのでした。
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友人Pは、立ち上がると身長182センチの長身です。
運転席を降りて、立って歩るくと、それだけでも相手にとっては
『圧力』になったらしい。ところが『圧力』は、いささか効きすぎ
てしまったようで、相手陣営の結束を堅めるという考えても見なか
った結果をうんでしまいました。
タクシーの運転手は、自分もあわてて車を降りると、機先を制し
てわめき始めました。
『工事であっちのみちのとおれんったい。うそと思うなら、みり
ゃあよか。ほんとたい。だけん、しかたのうみんなこげんしてこの
道にはいってきよるったい。あんたが譲ればよかろうもん。ちょっ
と下がればすむこっちゃろうが、こっちがさがろうていうたら、あ
あたみいんなさがらないかんとばい。そんくらいのことわかろうが』
(標準語直訳=工事であちらの道が通れないのです。私が嘘をつ
いていると思うのでしたらば、あなたの目で確認されてはいかがで
すか。私は嘘はもうしません。であるからこそ、私だけでなく後ろ
に続くみなさまもこの道に侵入してきているのです。あなたが譲っ
てはいかがですか。少しだけ後退するとすべてが解決するではあり
ませんか。もしもこちらがさがるということになると、私だけでな
く後続の車両が全部下がらないといけないのです。そのくらいのこ
とはおわかりになるでしょう?)
僕らとタクシー運転手のやりとりが、らちがあかんと思ったのか、
後続のトラックと最後尾の国産高級乗用車の運転手が、あとから車
の外に出てきたました。
これは、なんだか険悪な感じになってきた。いよいよやばいな。
問題は、タクシー運転手と僕らとの『私闘』の域を越えてしまっ
ていました。しかも、タクシー運転手側には一挙に『味方』がふえ
ちまっているのです。
国産高級の運転手は、僕らを責めました。
『あんたたちも、もののわからん人やなかろ。すまんばってん、
さがっちゃらんね。そら、あんただちのほうが正かとはこっちもわ
かっとう。ここは一方通行たい。そやけど、こっちは、いかれんっ
たい。この道ばとおるしかいかれんと..』
トラックの運転手もこの意見にならいます。
『みたら、あんたらの後ろに車庫があろうが、あそこまででよか。
そし
たらかわろうが(標準語訳=車が離合できるではありませんか)。
あそこ
やったら僕だちも横ばすりぬけられる』
そういって妥協の道を提案します。
僕らとしても、無礼者のタクシー運転手のために、こうして仁義
をきって話して来るこの人たちを、むげに退ける気にはなれません。
なによりばかばかしいではないか。僕らにもこの人たちにも、先を
急ぐ事情ってえもんがあるんだ。そうだ。そうやった。あほくさ。
はよ、ここば立ち去ろう。
気がつけば、タクシーの後ろについた車の数は、さらに増えてい
ます。さっきまで3台だったのが、今ではざっと6台に増えている
ではありませんか。
こりゃあ面倒な。いくらなんでも、都合7台を相手にして、くそ
意地はってもなあんにもならん。さとった僕らが、心の底に割り切
れない思いを抱きながらも、矛先を収めようとしたときのことです。
この時期になるとけっこうな渋滞騒ぎになってしまったので、野
次馬も出ています。その野次馬だか、野次車だかをかき分けるよう
な勢いでもって走ってきたのが、この渋滞の原因を作った張本人と
も言うべき工事やっている人たちです。
その人たちは、都合3人で『すみませええん。どうもすみません』
と、渋滞している車列にぺこぺこと頭を下げながら、こっちへやっ
てくると、友人Pの車の前に出て来るなり、先頭の男が
『ちょっと。あんた。さがらんね。みんな迷惑しとろうが!!』
と怒鳴ったのだから、大変です。友人Pは、この瞬間に逆上して
しまいました。
(以下次回)