AWC 続▼聖戦の道▼ 激突4対1の巻    ワクロー3


        
#2647/3137 空中分解2
★タイトル (AKM     )  93/ 1/ 6  15:22  ( 91)
続▼聖戦の道▼ 激突4対1の巻    ワクロー3
★内容

 続【聖戦の道】激突4対1の巻/ワクロー3




 『前回のあらすじ』一方通行の道路を車で走っていると向こうか
らタクシーがきて、道を譲れとだだこねた。さてどうしよう。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 『本来通る道が工事で通れない、やむなく一方通行違反の禁を犯
して、通らざるを得ない』タクシー運転手の言い分は簡単に言うと
そういうことでした。

 友人Pは、そういう事情ならば、通常なら快く道を譲る人間です。
しかし、今度のように『下がれ、下がれ』と満足な説明もしないで
蜘蛛の子供を払うように、当然の顔つきで『指示』されたとあって
は、不快の上に怒りがこみ上げてきます。


 これもまた当然の人情と言うものでしょう。こうしてこじれた一
方通行の道路は、友人Pの車と、タクシーが角を突き合わせて、に
らみ合うという闘牛場みたいな緊張がみなぎる場所となってしまい
ました。

 また間が悪いときには、ものごとは悪い方へ悪い方へと運んでし
まうのも、なにかの悪縁かも知れません。

 友人Pとタクシーとが、車を対じさせてにらみ合っているところ
に、さらに後続車両が押し掛けてきました。

 それは、正しく一方通行をあゆまんとしている、友人Pの後ろで
はなくて、あの傲慢無礼、独善的なタクシー運転手の方にでした。

 工事で一方通行の禁を犯して、この道を行くしかないことはこの
ことでも明らかのようでした。タクシーの後ろに都合3台が押し掛
けてきたのです。

 軽乗用車1台。中型のトラック1台。そして33ナンバーの国産
大型高級乗用車1台です。しばし、タクシーの後に後続して停車し、
こちらの様子をうかがったのち、うち何台かがほぼ同時にクラクシ
ョンを鳴らしました。

 『なんとかしろ』または『さがらんと行けないぞ』という、どち
らかというと、友人Pに対する示威行為と受け取れました。



 形勢は一気に4対1です。友人Pは、ここで最後の選択をする決
断に迫られました。ことは、傲慢な運転手と自分との関係だけでは
すまなくなている。後続車がやむなく入って来るということは、ほ
んとうにやむおえない事情があるのだ。

 僕も了解しました。友人Pの決心もこの瞬間には、『大義を捨て
て社会に遵う』という心持ちになったようでした。

 耐えがたきを耐え、後続3車両のために、傲慢なタクシーに道を
譲るも仕方が無い。友人Pは、無念の気持ちでギアをバックに入れ
ようとしました。僕はその場面を確かに見ました。

 けれども、まさにその瞬間にタクシー運転手は、運転席の窓から
後続する『味方の将兵』に向かって、時ならぬ『演説』を始めてし
まったのです。


 『こいつらが道をゆずらんったい。工事でそっちが行かれん、と
言いよるとにわからんちゃもんなー。こっちゃー4台。あっちは1
台たい。理屈で考えても、あっちがゆずりゃあすむこっちゃろうも
ん』(現地福岡地方につき原語のまま)

 友人Pは、一旦入れかけたバックギアをニュートラルに戻して、同時に不
退転の決意を込めるように、ギギギギギギギギギギギギと、
サイドブレーキを引き起こしました。

 理屈も礼儀もない運転手に『理屈』を説明される義理はない。
 友人Pは、サイドブレーキを引くと同時に、運転席を降りて行きまし
た。

 こりゃあ、なんだかとんでもない展開になってきたなー。あいつ
は社会人になってからは自重しているというものの、学生時代、す
ごかったからなー。でもまーまさかそこまではせんだろうなー。

 僕も続いて車を降りました。



                    (以下次回)





前のメッセージ 次のメッセージ 
「空中分解2」一覧 ワクロー3の作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE