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#2230/3137 空中分解2
★タイトル (WJM     )  92/10/ 4  11:48  ( 68)
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★内容

 大通りから少し入った処にあるディスカウント・ショップの地階へ降りる。ワゴン・
セールスがお目当てである。二缶100円という缶詰達。完全な投げ売りである。その
中から、かねてより決心をしていた「サンマの蒲焼」、そして何故だか急に目についた
「焼鳥(塩焼)」を手に取り、二個で合計百円(内税)を持ち、イソイソとレジへ向か
う。この際、缶詰に打たれた刻印表示の読み方とか、缶詰の製造年月日とか、について
は知らない方が幸せである。でも、まぁ、考えようによってはヴィンテージな缶詰なの
だ。ウィスキーなら「12年もの」。そして、この貴重なる缶詰は、愛すべき

 「5年もの」

なのである。

 「 ピッ ピッ ガッチャン .... はい 百円です .... 」

 ポケットの中の小銭は、それで費えた。階段をスタスタと登り、いつもの神社の境内
へと向かう。柄杓で水が汲め、それが結構うまい。手を洗い、うがいをし、水を一杯。

 「 パッカン 」

と缶を開け、スーパーの試食品コーナーでくすねた爪楊枝にて焼鳥をつまむ。最近は、
肉の安売りが多いけれども、調理がねぐらで出来ない俺には辛いものである。1パック
680円のステーキ肉が閉店間際だと半額になっている事もある。流石に生は食えぬ。
かといって、ホット・プレートを買うとなると躊躇する事となる。

 つい二週間前、この境内をねぐらにしていた「レゲェ」の「ホームレス」の老人が、
に遺体で見つかった事を思い出す。次の住人は未だ決まっていない。秋も深まりゆく。
野宿を決め込むには辛くなる。駅の構内とか地下道とかに移動してゆく様は、ゾロゾロ
と蠕くゴキブリに例える程にはたくましくはない。明けて新たな春を迎える事が出来る
のは、どれほどであろうか。己自身の身の上を忘れんがために歌い舞い踊る。

 「 モンナーシサー モンナーシーサー 金が無いー .... 」

モナリザは私に微笑むだろうか?嘲笑であるのかもしれぬ。女の笑顔ほど、怖いものは
無い。つい最近、アイスピックで滅多刺し、とかいう映画があっただろう。あれは、

 「 氷の微笑 」

とかいう奴だ。そうだ。ハンバーガー屋へ行くと必ず

 「 ポテトは如何ですか? お飲み物は如何ですか? 」

とかデフォールトに聞いて来て、

 「 ニコッ 」

と笑うのだ。更には、値段表の最下段にご丁寧にも、

 「 SMILE ¥0 」

とか表示してある。タダより高いものは無い。げに恐ろしきは、

 「 小売りの微笑 」

なるわい、と一人得心して、更に舞い踊ろうとすると、そばで声がする。

 「 おぉいぃ....俺にも少しくれよぉ.... 」

 突然の声に驚く。見れば、まさしく「レゲエ」を地で行く風体。

 「 どうしたよ おい! 勝じゃないかぁ! 」
 「 いやぁ 色々あってなぁ 」

何から問うたら良いのか、しばし思考だけが宙を舞っていた。


        −−  次回 .. 【ぬ】 .. を待て! −−





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