#2053/3137 空中分解2
★タイトル (TEM ) 92/ 8/15 19:34 ( 19)
当世源氏(3) うちだ
★内容
〜彼女になりたい〜
貴子は僕のことを好きだと言った。僕も貴子のことを好きだと言った。
すると貴子は僕を睨んで言うんだ。「それじゃ、駄目。本気じゃないくせに」
「何それ」僕は一応傷ついたような顔をしてみる。
「何て言うか」貴子は自分の額に手をあてた。「多分私は、追われるより追い
かけるほうが好きなのよ。」
「ふむ?」
「好きになってくれる人よりも、好きな人と居たいと思うわ。私って、タミオ
くんみたいにふらふらしててひとすじになれない人を好きになっちゃうの。今
はタミオくんが本気じゃなくても、私いつか忘れられないような女にきっとな
るもん。私ってそういう女なの。そういう女になりたいの」
ふむむむ。僕にもなんとなく飲み込めてきたぞ。じゃあ、僕って奴は貴子にとっ
て“ふらふらしててひとすじになれない人”でいいわけだ。僕と貴子は見つめ
あってニヤリとお互い笑ってしまった。そして、彼女は僕のことを好きだと言っ
た。貴子の凄いところは、恋愛さえ貴子が“貴子”になるための修行の一部と
いうところだ。貴子が“貴子”になった時にはもう、僕はそばにいないかもし
れないけれど、僕はそういう今の貴子を好きだ。
おわり