#2005/3137 空中分解2
★タイトル (HHF ) 92/ 7/31 14:32 ( 68)
月夜話、其之弐 「 子の気持ち、親の気持ち 」 ■ 榊 ■
★内容
「ちょっと、出かけてくる」
「どちらにですか? 珍しいですね」
いつもの部屋から出てきた支配人に、思わず女性秘書が声をかけてしま
った。なにしろ私用で出かけてくることなど、今まではまず無かったのだ
から。
支配人はいたって表情をかえず、すらりとこう言ってのけた。
「うん、月に一度は息子に会っておくにしたんだ。顔を忘れてもらわない
ためにね」
珍しい光景だった。あの祭から、少しだけ変わったような気が、秘書は
した。何と言っても、こんな冗談めいたことを言える人ではなかった。
「……どうぞごゆっくり行ってらしい下さい」
心から出た言葉だった。
夏の日差しも強く、昼過ぎは、蝉の声もうるさいほどだった。
更紗も舞姫も萌荵も、そして芳春も、欅の大きな影の下に寝転がってい
た。静かな風に身を揺らされながら、心地よい眠りにひたっている。
そして、遠くの、この庭を見渡せる道路から、父が車から降りる。
今日は、何を芳春に話そうかと考えながら。
親父の考えていたのは、こんなことなのかも知れないと思いながら……
…。
風が、優しく、そんな人達に吹きかけていた。
月夜の晩の、そんなお話。
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「 後書き 」
御一読有り難うございました。気に入っていただいたら幸いです。
どうでしょうか? いろんなキャラの魅力を感じていただいたでしょう
か? 基本的に、舞姫なんぞが書いていて楽しいのですが、あなたにあっ
たキャラがいるといいのですが……。
さあ、今日も少し裏話です。
芳春君の父の一言、
> とにかく、どんな苦痛でも機械的に受け取れる能力がある。
> それが良いか悪いかは解らないが。
これは、まさに僕です。こんなひねくれた根性に何か刺激を与えたい。
更紗のそう思う気持ちもまた、僕自身なのです。
何にも傷つかなかったり、悲しまなかったりするけど、でも、自分で自
分を励ましちゃったりして、気づいていると涙が出ています。頑張れ、僕
ってね。(^_^)
芳春君がプールで、お魚になったように感じた部分は、実体験です。一
度、溺れたとき、反対側のプールサイドがはっきり見えて、ああ、お魚っ
てこんな風景を見ているのかな……と死にながら考えていました。(笑)
ホテルの豪華な内装は、実際に海外であったものを参考にしました。日
本には無いそうですが。(おっ、シャレになっている:笑)
ところで、芳春の母の話も書きたいですね。まだ結婚前の夫となる人の
背中を、足で蹴れますか? ふつぅー、できないですよね。
萌荵が書き足りないなぁ。どんな個性にしよう? 自分と向き合って萌
荵の性格を考えて、次の話にしてみようかな。
それではまた、続きを楽しみにしていて下さい。(^_^)