#1856/3137 空中分解2
★タイトル (LYJ ) 92/ 6/23 21:39 ( 30)
バーチャルリアリティ やまもも
★内容
ふーっ、まいった、まいった。いやね、いままでバーチャルリアリティの世
界に入っていたんだけど、仮想現実の世界もなかなか厳しいね。あっ、そのバ
ーチャルリアリティはね、平安時代の日記文学「蜻蛉日記」を題材にしたもの
なのさ。「かげろう絵巻」って題名のRPGで、俺は藤原兼家の役を演じたん
だよ。このRPGでは、美女3人を相手にいかに上手に恋愛プレイを楽しむこ
とができるかが腕の見せどころなんだけどね。
いゃー、3人の美女のなかでは、町の小路の女は特に素晴らしかったなー。
とっても優雅で、それでいてむせぶような妖艶さがあるのさ。それに、彼女と
一緒にいると心がすごく安まるんだよね。本当に彼女は最高だったなー。でも
ね、他の二人がものすごく嫉妬深いんだよ。だから、3人の女のご機嫌をうま
くとっていくのって、そりゃー並み大抵の努力では出来ないことだよ。いやは
や、身も心もくたくたさ。これはたまらない、どうしょうかと真剣に悩んだと
きに、はたと気がついたんだよ。これは単なるバーチャルリアリティだったん
だってね。それで慌ててアイマスクをはずしたんだよ。あーあ、助かった、ほ
っとした。しかし、痛感させられたなー、俺はまだまだ未熟だってことを。
えっ、この浮気者、薄情者だって。あれっ、焼き餅を焼いてんのかい。馬鹿
だなー、あくまでもバーチャルリアリティ、仮想現実の世界の話なんだから、
そんなに怒るなよ。あっ、な、なにをしているんだ!じ、自分のアイマスクを
はずしているのか!!よせ、やめろ!!!あっ、き、消えるー……。
彼女はアイマスクとデーターグローブをはずし、データースーツも脱ぎなが
らつぶやいた。「男って、みんなこんなに浮気っぽいのかしら。もっと誠実な
男を相手にするバーチャルリアリティを体験したいわ。でも、バーチャルリア
リティって、本当にはかなくって虚しいわねー。まるで陽炎(かげろう)のよ
うね。あっ、この体験を日記に付けておかなくては。日記の題名は、そうね、
「陽炎日記」がいいわね。