#1813/3137 空中分解2
★タイトル (LYJ ) 92/ 6/16 23:15 (103)
教訓話「うつつとなる」 やまもも
★内容
第1話 ウラシマタロウ
ウラシマタロウが龍宮城から帰ってきてから、オトヒメからもらった玉手
箱を開けた。彼は体が衰弱し、よぼよぼの老人となった。
教訓:遊びすぎに注意しましょう。
第2話 ヘビースモーカー
ヘビースモーカーのウラシマが玉手箱を空けた。部屋中煙だらけになり、
彼は激しく 咳き込んだ。
教訓:健康のために煙草の吸いすぎに注意しましょう。
第3話 マック癌患者
パソコン通信大好き人間のウラシマが玉手箱を開けた。彼はその後、パソ
コン通信を使って在宅勤務出来る職場に転職し、人との日常的な交際を一切
断ち、一人部屋に閉じこもってしまった。奥さんが彼に連絡するときも、家
庭用LANで繋がったパソコンを通じておこなっている。
教訓:パソコン通信のやりすぎに注意しましょう。
第4話 テレビ大好き人間
テレビ大好き人間のウラシマ、暇があるとテレビを楽しんでいた。そんな
彼が玉手箱を開けた。彼はどんどん幼児化し、最後には赤ちゃんになってし
まった。
教訓:テレビによる幼児化に注意しましょう。ところで、かなり昔のこと
ですが、大宅壮一という評論家がテレビによる1億総白痴化を問題
にしたことがありました。彼の予言はまさに的中したようですね。
第5話 仕事人間
仕事人間のウラシマさんが勤め先を定年退職した。彼は、いままで住んで
いた家を売り払って、家族みんなで故郷に帰ることになった。引越しのため
の家の片付けや荷造りなども一段落した後、玉手箱を開けた。翌日、彼は粗
大ゴミとして捨てられていた。
教訓:奥さんを大切にしょう。昔は「女三界に家無し」と言いましたが、
今は「男三界に家無し、亭主は元気で留守がいい」。奥さんに捨て
られないよう、家庭サービスに努めましょうね。
第6話 曙が大関に昇進
夏場所に優勝した曙が大関に昇進とのニュースを聞いてから、玉手箱を開
けた。その後、テレビを見ていたら、国際相撲協会の理事長が記者会見でつ
ぎのような発言をしていた。「新弟子入門では日本人枠を検討している。日
本人を差別したくないが、3Kを敬遠して入門希望者も少ないし、たとえ入
門しても体力も根性もない日本人の若者は出世の見込みがない。日本人に対
しては何らかの制限を考える必要があるだろう」。
教訓:うーん、ここからどんな教訓を導いたらいいのかな。みなさん、考
えてね。
第7話 全国植樹祭
全国植樹祭が盛大に開催された後、玉手箱を開けたら日本全国が砂漠化し
てしまった。先月の10日に開かれた植樹祭の会場は福岡県の夜須高原でし
たが、『毎日新聞』5月12日の記事によりますと、「原野約22ヘクター
ルで、スギ、マツ、ヒノキ、雑木約4千4百本を伐採して造成された」との
ことでした。
教訓:事実は小説より奇なり。ブラックユーモアは小説だけで充分です。
第8話 赤鬼のタイムトラベル
桃太郎たちの奇襲攻撃によって鬼ケ島は壊滅的な打撃を蒙った。鬼たちは家
を焼かれ、家財を奪われ、多くの死傷者を出した。鬼の眼にも涙。彼らは今は
廃墟と化した集落のなかで悲嘆の涙を流した。しかし、ただ嘆いてばかりはお
られない。長老たちは会議を開いて事後の対策を講じることになった。
だが、会議のなかで今回の惨めな敗北の原因に関して論議が始まると、長老
たちは相互に責任追求をやりだした。情報調査活動に問題があったのではない
か。いや、防衛監視体制の不備こそ問題だ。それより軍事的な装備と訓練に最
大の問題があったのではないのか。いや、彼らをあなどって挑発し、紛争の種
を蒔いた現地駐屯部隊にこそ責任がある。しかし、あの紛争は外交的努力で解
決することは出来なかったのか…。長老たちはお互いに非難しあい、攻撃しあ
った。彼らは自己保身に汲汲とし、疑心暗鬼となってただひたすら相互に責任
のなすりあいをおこなった。
こんな長老会議の様子を聞いて、一匹の若い赤鬼は決意した。だめだ、あん
な長老連中なんかに任せてはおけない、俺がやるしかない。先祖から伝わるこ
の玉手箱、鬼が出るか蛇が出るか、ええい構わないと思い切って蓋を開けた。
赤鬼はいつのまにか人の住む村里近くの川岸にいた。あっ、川ではおばあさ
んが洗濯をしているではないか。鬼の居ぬ間に洗濯かな。あれっ、たくさんの
果実が川上からどんどん流れて来るぞ。あっ、そうか!!俺は時間旅行によっ
過去に遡り、桃太郎が桃から生まれる直前の時期と場所にいま来ているんだ。
赤鬼は父からいつも寝る前に絵本を読んでもらっていたから知っていた。おば
あさんが川で洗濯をしていたら、たくさんの桃がどんぶらこ、どんぶらこ、お
ばあさんが、「うまい桃こっちゃこい、苦い桃あっちゃいけ」と言って拾った
大きな桃から桃太郎が生まれたことを。
あっ、来た来た、大きな果実が流れて来たぞ、よしっ、しめた。赤鬼はおば
あさんが洗濯している場所より川上の方にいたので、その大きな果実をおばあ
さんが拾い上げる前に手に入れることができた。この果実のなかに俺たちの天
敵である桃太郎がいるに違いない。まだ赤ん坊の桃太郎の命を奪えば、鬼ケ島
の安全と平和が守られる。赤鬼は手に持っていた金棒を振り上げて果実を叩き
壊そうとした。そのとき、果実が先にぱくっと割れて、なんと一人の可愛い娘
が外に飛び出して来て、赤鬼に向かってしゃべりだした。
「どうもいらっしゃいませ。いまお履になっておられるのは虎の皮のパンツ
ですね。とてもクラシックで素敵でございますね。でも、たまには新しいタ
イプのもので冒険をされてもよろしいのではございませんか。このブルーに
白い水玉模様のものなんか、お客様の赤いお肌にとても映えるんじゃないで
しょうか。あっ、こっちのピンクの薄い生地のものですとお体にぴったりフ
ィットして、前がもっこり、お客様のたくましさをさらに一層引き立てるこ
とと思いますわ。」
びっくりした赤鬼がどなった。「お前は一体誰なんだ!!」。娘が答えた。
「瓜から生まれた売子姫ですわ」。彼女はデパートの紳士用品売場に勤めてい
たんですね。
教訓:眼を酷使していませんか、視力は落ちていませんか。