AWC 「氷梢」7                      由布子


        
#1367/3137 空中分解2
★タイトル (KPG     )  92/ 1/ 2  13:59  ( 25)
「氷梢」7                      由布子
★内容

  「君は欲しいものはある?」
  「そりゃあ、いっぱいあるわよぉ。」
  「何が欲しいんだ?」
  「買ってくれるの?」
  「ああ、買ってやろう。明日、札幌に行かないか?」
  「本当ぉ、本当ねっ。明日になったら、俺は酔ってたなんて言わないでよ。」
  「酔っているように見えるか?」
  「だって、お客さん、ほら、もうこんなに。」
   赤いマニキュアの短い指がウィスキーの瓶をつかみ、照明にかざした。
  「欲しいものは何だ?」
  「えーと、急に言われても...。」
  「欲が無いんだな。君は。」
  「待って、待って、あれ、あれ、あのなんて名前だったか...。雑誌にで
   ていた洋服なんだけど....。」
  「慌てるな。札幌に行けば有るんだろ。」
  「ちょっと高いよぉ。」
  「じゃあ、やめだ。」
  「待って、待って、そんなに高くないもの、考えるから。」
  「はははは、本当に欲しいものは何なんだ?」
  「冗談言ってるのぉ?」
  「君の部屋に泊めてくれないか。」
  「そういうことだったのぉ。あたしはそんなに安くはないわよ。」
   女は煙草をくわえると、顎で火の催促をした。
                                 つづく




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