#1088/3137 空中分解2
★タイトル (MEH ) 91/ 8/ 9 1:54 (127)
メリケン星人襲来 クリスチーネ郷田
★内容
地球にかつてないほどの危機が訪れた。
「黒いUFO」が各国に襲来してきたのだ。
今までも、ちょこちょこUFOがやってきてはいたのだが、今回はそれだけで
はすまなかった。異星人は、本格的に「星間貿易」を要求してきたのである。
彼らは、自らを「メリケン星人」と名乗った。メリケン星が地球で言うどの惑
星なのかは、いまだに判明していない。天文学者らは必死になって彼らがどこ
驍ゥら来たのかを解明しようとしたが、結局わからずじまいであった。
メリケン星人の外見はまるで怪物のようだ。でかい鼻は約1メートルくらいは
あろうか。肌は透き通るほど白く,髪は金色で,目が青い。人々はその姿を見
て、天狗を連想した。うわさによると、メリケン星人のペニスはビールびん状
の形態をしていると言う。そのお化けみたいなやつが大量に地球に襲来したの
だから、地球人がパニックに陥るのは当然のことだった。
各地で暴動が発生し、内戦があとを絶たなかった。
地球人はみな自暴自棄になり、意味もなく踊り明かした。
その行為は、ええじゃないかシンドロームとして歴史に名を残している。
国際異星人対策連合所属の地球軍は、圧倒的な力の格差に戦闘をためらっていた。
どうにも手のうちようが無いので、はぐらかし、ぶらかす。
しかし、そんなぶらかし外交も長くはもたなかった。
全国の血の気の多い民族は、そんな対応にしびれを切らせて空に浮かんでい
る黒いUFOに向かって攻撃を開始した。そのせいで血の気の多い民族は滅
亡してしまった。ことごとく「黒いUFO」の反撃でやられてしまったので
ある。
鹿児島県民も、そんな民族の一つだ。かつて九州のあった空間にはいま、な
にもない。ただクレーターがぽっかりと、口を開けているのみでぶJ險マ骭エ因は、地球防衛軍九州支部が「黒いUFO」を攻撃したためだった。
攻撃したはいいけれど、UFOの反撃はあまりにも強烈で、ついに九州は木
っ端微塵に吹き飛んでしまったのだった。
こいつは素直に星間貿易に同意する方が得策であると、誰もが考えた。
各国首脳も同意見だった。そんなわけで地球ーメリケン通商条約が結ばれたの
だが、それはどう考えても、人類にとって非常に不公平なものであった。
その内容はこうだ。
1 人類を奴隷にする代わりに、プロ野球のチケットをプレゼントする。
2 人類を食料にする代わりに、もれなくサイン入りテレホンカードが当たる。
3 人類を殺りくする代わりに、消費税は勉強させていただきます。
国際異星人対策連合の軍艦奉行並である勝淋太郎が、テレビのニュース番組を
見ている。今日も「黒いUFO」の話題で持ちきりだ。
「こ…こんなに不公平な条約があっていいものか!べらんめい!」勝淋太郎は
テレビのニュースキャスターに向かって叫んだ。
「べらぼうだ!こんなものゆるさねえぜ俺あ!」勝は血管を浮き上がらせて怒
鳴る。
そこへ、訪問者があると美人の秘書が告げた。
「勝先生、汚い格好の男が面会したいと言っておりますが。」
「そうか。じゃあ会おうかな。」
汚い二人組が、どかどかと入って来た。
「おんしが勝淋太郎か?」
「そうだぜ、おめえ何者だい」
「高知県出身、現在浪人生の坂元っちゅう者じゃ。」
「おおっ、やはり来たな、坂元龍馬くん。」
「なんでわしんこと知っちょるか?」
「まあ、運命とでも言おうか。君が来るのは計算の上だぜ。俺を殺しに来た
んだろ?」
「よく知っちょるのお。その通りじゃ。おんしを殺しに来た。ちくと痛いが、
我慢しちくり。すぐ終るでの。」
「まあそうあわてるなって。ちょこっと耳を貸せ。」
「な…なんじゃい」
龍馬は戸惑って,やせ細った勝をじっと見つめた。勝はニコニコと微笑んでい
た。殺そうとする男に微笑むとは、おかしな奴だ。龍馬は思った。
「なんか調子が狂うぜよ…。」
勝淋太郎は、暗殺しに来た高知県出身の現在浪人生である坂元龍馬に、世界の
危機を説いた。宇宙の広さをわかりやすく説く勝淋太郎。
龍馬の目から、うろこが落ちた。淋太郎は、次から次へと、とんでもない発想
を流暢な江戸弁で龍馬に聞かせた。
龍馬は淋太郎の話に酔い、感激の涙を流した。
「いや、恐れ入る…」
そばで聞いていた千葉十太郎も感心していた。
「すごい、すごいぜよ!勝さん、いや先生!これからはわしの師匠にしてあげ
るぜよ。勝先生、そいつは実にいいアイデアぜよ…」
「そうだろう?」
「夢があるぜよ…海綿体…そうじゃ、海綿体じゃ。世界の夜明けぜよ!」
「馬鹿野郎、海援隊だってば!まずは龍馬、仲間を集めることだ。その際、名
前には気を付けるんだぞ。名前が違っていたら、真の海援隊ではなくなるから
な。」
「合点承知!海綿体ぜよ!」
「違うっちゅーの、まったくもう。だからおめえは万年浪人なんだよ」
「海援隊、ですね。ワッハッハー、ジョーク、ジョーク。いくらなんでも、海綿
体と海援隊の区別くらいできますぜ。勝先生、わしゃもう行く。もう、いてもた
ってもいられんわ!!」
坂元龍馬と千葉十太郎は、来た時と同じように、風のように去って行った。海援
隊となる仲間を捜すために。そして2カ月後、勝林太郎の前に海援隊の隊員が勢
ぞろいした。
長岡剣吉
近藤鳥次郎
陸奥宗密
新宮馬助
池蔵太
などの顔ぶれが見えた。彼らはみな、おかしな宇宙服を着込んで龍馬とともに
現れた。彼らは宇宙服をユニホームのつもりで着ているようだが、そのセンスの
無さは見る人をあきれさせた。
こじきルックよりもさらにひどい、オンボロな宇宙服。しかもベルボトムだ。
なにしろ格好が悪かった。淋太郎もよほど情けない宇宙服の事を言ってやろうか
と思ったが、我慢した。
「勝先生、どうじゃ。まっこと苦労したが、なんとかメンバーを揃えたぜよ。
」「やったな龍馬。これで地球は安泰だぜ。」
「やりましょう、勝先生!ちっぽけな地球を飛び出して、宇宙の貿易商になりま
しょう!」
「その意気だぜ龍馬!」
その後、坂元龍馬率いる海援隊は、宇宙に名を轟かすことになる。
彼らが、有名な「武器商人、奴隷商人、死の商人」として歴史に悪名を残すのは、
そう遠い未来の事ではなかった。