#987/3137 空中分解2
★タイトル (UYD ) 91/ 6/ 5 4:27 ( 58)
サムイ島の思い出2 KEKE
★内容
学生と私は食堂へ向かった。消灯の少し前だったので、まだ食堂
は開いていた。カウンターの女の子にマリファナを売っているとこ
ろを聞いてみようと思った。女の子の前でガンジャ、ガンジャとい
って身振り手振りでどこで売っているのか聞いた。そしたら、女の
子はにっこり笑って、カウンターの下から何かを取り出した。マリ
ファナだった。何のことはない、ここで売っていたのだ。
お金をはらって、マリファナを受け取り、食堂を出た。
「こんな所で売っていたんですね」
と学生は興奮していた。
「いやあ、こんなに簡単に手にはいるなんて思わなかった」
バンガローに帰ると、さっそくジョイント作りを始めた。まず、
たばこの中身をほぐして取り出す。そこへ手で細かくしたマリファ
ナを詰め込む。あんまり細かくすると燃えないし、かといって大き
すぎると今度はあっというまに燃えてしまい十分吸えない。このあ
たりにちょっとしたこつが必要なのだ。
とりあえず4、5本作って吸うことにした。
「あのね、腹式呼吸の要領で、深く吸ってぐっとこらえる。限界ま
でこらえて、マリファナの煙りを肺のすみずみまで回して吸収させ
るんだ。それから一気に吐き出す。これがマリファナをうまく吸う
こつだよ」
「はい」
学生は緊張した小学生のような声で答えた。
「まあ、そう緊張しないで。初めて女とやった時のことを考えれば
こんなことなんということはないんだから」
私が初めてマリファナを吸ったときもこんなふうに緊張していた
のかなと、ちょっとおかしくなった。
その夜は全部で10本以上のジョイントを吸ったはずである。マ
リファナは酒と同じで気分がいいといくらでも吸えることがある。
どんどん吸って、どんどん効くわけである。でも、もうこれで限界
だという感じはあったので、そのくらいで止めておくことにした。
「さあ、ここいらでおひらきにしようか」
「え、もう終りですか。もっと吸いましょう」
「いや、もう十分だよ。ほら、足元がふらふらしているじゃないか。
もういっぱいということだよ」
「でも……」
「明日またやろうぜ」
「はい」
学生はふらふらしながら自分のバンガローに帰っていった。
学生はその日から1週間ここにいたが、毎晩マリファナパーティ
ーであった。
学生がバンコクに帰ったあと、これでよかったのかなという感じが
ちょっと残ったのは事実だ。どうも、ひとりの大麻ジャンキーをつ
くってしまったんじゃないか。何でもそうだが、マリファナも吸い
始めは夢中になる。あの学生バンコクでも吸うんじゃないか。その
点ちょっと気がかりであった。
なかには日本まで持ち込もうとする人間もいるのである。あの学生
もそうならないとは限らない。
ま、しかたないかな。それもあの男の人生だ。ひとがどうのこう
の言ったところではじまらない。どうかなったとしても、それはそ
の男の責任だ。だれにも責任をおしつけることはできない。
学生が島をさってから、1週間して、雨期が始まった。天気が悪
くなり海も荒れて泳ぐのも難しくなった。
私はそれから1週間後、この島をさった。