#796/3137 空中分解2
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CAMPUS> 不屈の学園都市 (4) ■ 榊 ■ (05/75)
★内容
綾はすっかり寝ていた。
しばらく沈黙。そして御影はつぶやいた。
「あーあ。寝ちゃった……」
ACT5 飛行場
一条昌也 < イチジョウ マサヤ >
フライト部部長。陸の御影、空の一条と言われるほどの、ドッグファイト(空中戦)
の名手。
格納庫内にある、ある一室。
待合室らしく、いくつも長椅子がならんでいる。
ちょうどまん中あたりで綾は寝ていた。
そのまわりには、この飛行場の責任者であり、フライト部の部長の一条昌也。
そして最初に出たジープの運転をやっていた男、沖直也。こいつはモーター部の部長
である。
そして破壊部の部長の御影誠一郎。
今回、綾の子守を頼まれている、この学園の名物3人組である。
三人は、綾を囲みながら、色々話し合っていた。
「まだ起きんな」
沖である。
「御影、もうちっと少女には優しくせないかんぜ」
そして、一条の説教。御影に説教できる数人の中にいる二人は、御影が何かやる度に
こうして説教をする。
御影は具合い悪そうに頭をかいていた。
御影は一人で育ってきたので、少女を扱うのはもちろんのことだめ。
それに説教も嫌いである。ひとから何か言われるのがいやらしい。
ツナギを着た一条ににらまれる。
「自分を基準にするなよ、自分を。女の子はか弱いんだから」
御影はあいかわらず沈黙。
「そういえば、お前が親しく友達づきあいしている姿を見たことがないな…………こ
りゃいい機会だ。炎城さんをしっかり守ってやれ。そう校長に言われたんだろ?」
兄貴肌の沖が言うと、とうとう御影は沈黙を破った。
「ああ……」
このぐらいでいいかなと思った沖は、話題をかえた。
「こんな事を話してたら、おもわず御影と初めてあったときの事思いだしちまった」
沖は笑いながら言った。すると一条も御影も一変して笑い顔になった。
3人の出会いが思わず想像できそうな笑いであった。
回想 −−−−
2年前の8月30日。まだ汗が出るほど暑いときであった。
この日、二人の生徒が転校してきた。
一人が一条、そしてもう一人の転校生が沖だった。
12時。。
太陽がのぼりきり、暑いさなか、沖はローランドIIでこの学園の門をくぐった。
ちょうどそのころ、一条はF−14トムキャットでこの学園の存在とローランドの存
在を知った。
ローランドは西ドイツとフランスの共同による、自走対空ミサイルである。
今でも、対空に対して絶大な力を持つ戦車であった。
一方、トムキャットと言えば、有名な戦闘機である。
その性能は誰もが認めている。
普通、こんな代物は、お目にかかれない。
それ故、二人は同時に思った。
「さっそくテストか?」
二人は同じ事をつぶやき、同じように笑いを浮かべた。
「やってやるぜ!」
機動性からいくと一条の方が優っていたが、F−14は戦闘機。地上攻撃は得意では
ない。
一方、沖の方は、対空の装備はしているものも、1対1では危ない。
向こうの方から攻撃を仕掛けられたら、まず勝ち目はない。
比較をすると、この場合、うまいぐらいに同等であった。
そして二人は戦闘を開始した。
一条が先手を取るため急降下を始める。
沖は照準を合わせ始める。
そのころ御影は近くの校舎の屋上にいた。
「おーお、珍しいものが……。ん? 戦闘状態に入った? いやそんなことは……」
頭では否定をしていたが体は動き出した。
そして一条と沖は同時にミサイルを発射する。
そして御影も手に握っていた物を投げた。
御影の投げたものはちょうどミサイルがすれ違うときに当たり、二つのミサイルは軌
道をかえた。
どっかん。
と爆発した所には小さな山があったが、爆発後、そこはすっかり平地になっていた。
そこがいまの制作部の部室である。
そこの部室を建てるときに、御影が投げた物が何であるかが解った。
たしかに手に握っていた物であった。
そう、それは(手すり)であった。
当時3人は15才だった。
そして三人はそれぞれ運動場にでて、顔を合わせた。
これが三人の出会いである。
榊健司 < サカキ ケンジ >
この学園の生徒会長をやっている。ほぼ万能。特に拳法を得意とし、御影と唯一、
いい勝負をすることでも有名な男である。
この時から、「一番強い」と言う言葉の好きな3人の、ケンカ三昧の日々が続く。
破壊した校舎の被害総額10億6千万。
プラス武器代をいれると大変な額になった。
そして10月30日。
御影に生徒会からの呼び出しがかかった。
もう内容は解りきっていた。
御影は生徒会と書いてある、大きなドアをたたいた。
「入ります」
そして中に入って、すぐ出てきた。
中に沖がいたからである。
「おい御影、待て。用がある」
中から声がした。
沖の声ではない。この学園の生徒会長をやっている榊の声であった。
この時、榊は16才であったが、しっかりした口調に、おもわず御影はまた中に入り
直し、席についた。
まだ若いが、生徒による自治が行われているため、この榊が実質場の校長である。
この榊が動くことは、学園全体に関わることだけである。
それだけに、榊が動き出したということは、ただ事ではないと言う意味であった。
「できたら、別々にしてくれないか?こんな緊張しながらじゃ話しにくい」
御影は常に沖を見ながら言った。
沖はというと、イスにドッシリ座り笑っている。
これは沖の友情の印であることは御影にも解った。
しかし、性格上どうもこういうのは逆にさかなでされたような気がして、いらついた。
だが一応榊の前でもあるので、御影はゆっくり座り始めた。
「用件は?」
「解っているだろう?」
「だが一条の野郎がいない」
「彼ならもうくる」
とうまい具合いに一条が入ってきた。
サして御影と同じ行動をとった。
沖と榊は御影と同じ行動を一条が取ったので、少し笑った。
御影は逆に恥しかった。
皆がなぜ笑うのかで一条が怒り、あれやこれやあったが一応3人は席に着いた。
「さて、用件は何だと思う?」
いかにも楽しそうに榊が聞いてきた。
二人にとって、それは皮肉に聞こえた。
しかし、沖の方はそうはとらない。もう用件をしっているからである。
「被害にあった校舎の請求だろ?」
御影が面倒くさそうにいった。
「そういえば会計から伝言があったな。たしか……。『三人とも死んでまえ!』と言
うことだったと思うけど…………まあそんな事はどうでもいい。今日は何の日か知っ
ているか?」
蛯フ意外な質問に一時、御影も一条も悩んだが、しばらくして二人は考えだした。
ェいっこうに何にも見つからない。
「おいおい、自分の誕生日も忘れたのか?一条」
意外な答えに二人は目をみはった。
そして榊を見て質問した。
「それで?」
「御影は自分の誕生日を知らないな?」
知るはずがない。御影は捨子である。
「ああ……」
御影は少しつらそうだった。
榊は言葉を続けた。
「沖の誕生日を知っているかい?」
また笑いながら言う。
そして二人は榊の言わんとすることを悟った。
「そうだ…………今日だ…………」
沖と付き合いの長い一条が、苦しそうに呟いた。
いかにも、一生の不覚といわんばかりの態度を一条はとった。
沖が笑う。そして沖は初めて口を開いた。
「お互いさまだ」
御影は榊の方へ向き直し、そして聞いた。
「さて、何が望みだ? 榊」
榊は立ち上がった。