AWC 運がいい(2) 刹那


        
#741/3137 空中分解2
★タイトル (HAG     )  91/ 1/ 7   7:21  (165)
  運がいい(2)                      刹那
★内容
**12月27日  従業員休息室**

  この前の時のようにテーブルを挟んで二人が座っている。
「賭けをしましよう」
  妙子が唐突にいう
「は?」
「このままじゃキリがないでしょ。だから賭けをしてハッキリさせ
ようって言っているのよ。この賭けには運が大事なの。私、運が強
い人って好きだから」
「ふーん。で、どんな賭けをするんだ?」
「年賀状をちょうだい」
「年賀状?」
「そ、年賀状よ。年賀状は元日にまとめてくるでしょ。そのまとま
りの中にあなたの年賀状が前半に入っていたらあなたとつきあうわ、
もし、後半に入っていたら・・・」
「キミのことはきっぱり諦める、と言うことか・・・」
「そうよ、もし年賀状の枚数が奇数で真ん中の葉書があなたのだっ
たら・・・そうねぇ、それでもつきあってあげてもいいわ。これは
あなたの方がわずかに勝ち目がある賭けね。もちろん、あなたが出
す年賀状は1枚だけよ。どうする?」
「でも、あれって郵便局に来た順番に後ろに足していくんじゃない
のか?  だとしたら今から出しても俺の年賀状は後半になるに決ま
っているじゃないか」
「それはないわ」
  きっぱりと否定。
「私、郵便局でバイトしたことがあるの。年賀状はね、1件をひと
まとめにして輪ゴムで止めておいているの。そして毎日、女の子が
1件ずつに区分けした年賀状を今までのと一緒にするんだけど、そ
の時は今までの奴の真ん中に挟むようにして一緒にするの。後ろや
前に足そうとすると輪ゴムが邪魔なのよ。だからその日の一番新し
い年賀状は真ん中当りにあるのよ。つまり配られてきた年賀状の真
ん中当りにあるのは12月31日のものになるわね。
  この真ん中にいれられたときにあなたの年賀状がどうなるか・・・
  どう?  前半にあるか後半にあるか・・・これこそ運よ」
  隆はしばらく考えていたがニヤリと笑い、
「OK、その賭けにのった」


**その次の日  12月28日**

【妙子の日記】
  隆の奴まんまと引っ掛かったわね。
  私が何の勝算もなしにそんな賭けをするわけないでしょう。
  この前、おもちゃ屋に郵便局でバイトをしているときによく一緒
に喋っていた女の子が来たのよ。
  その子は今年も郵便局でバイトをやっていたのよ。
  しかもうまいことにその子が担当している地区に私の家が含まれ
いた。
  早速、今日その女の子にあって頼んだわ。
「差出人の名前が坂本隆っていう年賀状がきたらそれを、我が家の
束の後半にいれといて」って。
  彼女はちょっと不思議そうな顔をしたけどちゃんと了解してくれ
た。
  ふふん。
  これで確実よ。

日記】
  運、かぁ・・・。
  運ねぇ・・・。

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なかがき
  ここまではいいんだ。
  調子良く書けた。
  さぁ、ここからが問題なんだよな。
  これからクライマックスに入るのだけどオチがなぁ・・・。
  思いつかないわけじゃない。
  はじめに考えていたのと、書いている途中で考えついた2つのオ
チがあるんだよね。
  どっちの方が面白いかな?
  あるいは両方面白くないかもしれないしな。(笑)
  で、考えるのが苦手な刹那はこのさい両方とも書くことにしまし
た。
  2通りの終わり方を比べてください。
  それでは、あとがきでまた・・・。
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**そして  1月1日**

  朝の9時、吐く息が白くなるこの寒空に隆と妙子は妙子の家の前
で立っていた。
  隆は「妙子を信頼しているから結果だけ教えてくれればいい」と
言ったのだが「ダメよ、こういう賭けは2人で確認しなくちゃ」と
の妙子さんのお言葉にしたがって朝早くから妙子さんの家にやって
きたのだ。
  実は妙子さん、隆のガッカリする顔が見たいのだ。
「なぁ、いつまでここに立っているんだ?」
「決まってるでしょ、年賀状がくるまでよ。大丈夫もうすぐよ。去
年は9時頃にきたんだから今年も多分そうよ」
  そうこう言っているうちに自転車の後ろの箱に年賀状をたくさん
積み込んだバイトの男の子がやってきた。
  妙子達と同じぐらいの年齢の男の子は妙子達の少し手前で自転車
を止めるとよっこらしょ、とスタンドを立てた。
  そして前の鞄から何件かをひとまとめにした輪ゴムを外し、近所
に配っていった。
(たいへんねぇ、元日の朝早くから・・・)
  なにげなく、その男の子の胸にある名札を見る。
(神原  希沙良、へぇ。かっこいい名前ね。顔も名前と同じぐらい
にかっこいいし)
  と、妙子が勝手なことを考えていると希沙良という名前の男の子
が妙子達の前にやってきて「はい、どうぞ」と妙子に年賀状の束を
渡し、通り過ぎていった。
「さぁ、前半にあるか、後半にあるか?」
  隆が妙子の手元にある年賀状を見ていう。
「あわてないでよ。すぐ調べるから」
  年賀状の数は30枚くらい。
  妙子が数える。
「いちまい、にまい、さんまい、よんまい、ごまい・・・」
  そして。
「じゅうに、じゅうさん、あった!  これがあなたの年賀状ね」
  束から年賀状を取り出し隆に見せる。
「そうだよ」
  裏を見ると「前半にありますように」と大きく文字が書いてあっ
た。
「単純な年賀状ねぇ」
  妙子は溜め息を着いた。
「14枚目にあったということは残り13枚以上だとあなたの勝ち。
12枚以下だと私の勝ちね」
  そう言うと残りの束を数え始める。
「いちまい、にまい、さんまい、よんまい、ごまい・・・」


**1月1日**

【妙子の日記】
  どうして〜〜!!
  どうして残りが15枚もあるのよお!!
  賭けに負けちゃったじゃないの。
  この賭けは無効よ、なんて言えないからデートしちゃったわよ。
  神社へ御参りに。
  くそ!  おみくじを引いたら大凶だったわ。さもありなん。
  おさいせんを奮発して神様に祈ったわよ。
  こいつと別れることができますようにって。
  でも。
  学校以外で隆と遊ぶのって初めてだけど隆って結構やさしいのね。
  ちょっと見直したわ。
  付き合ってみるのもいいかもね。
  挟むのに失敗した彼女に少し感謝。

【隆の日記】
  12月31日に幼馴染みの希沙良にあった。
  うまいことに希沙良は妙子の家を配っていたんだ。
「年賀状を自転車の箱にいれる時に俺のを前半にいれといてくれ」
と希沙良に頼んでいたんだ。俺の年賀状はポストに入れずに直接希
沙良に渡してね。ポストにいれたら妙子が昔のコネを使って細工す
るかもしれないからな。そんなことはないとは思うけど。
  ま、念のためにね。
  これも一応「運」だよな。
  ひょっとしたら希沙良は他の所を配っていたかも知れないし。
  希沙良が妙子の家を配っている、これ自体が俺は運がいいって証
拠だな。
  さぁ、今年は彼女もできたし楽しい年になりそうだ。
  初デートでおみくじを引いたら大吉だった。さもありなん。
  A  HAPPY  NEW  YEAR!

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あとがき
  刹那の5つ目の作品です。
  これが1つの終わりかた。
  もう一つはしばらく待ってください。
  これだけを一気に書き上げたのでちょっと疲れてしまった。
  それにしても。
  前からいっている幻の4作目、いまだにオチが考えつかん。
  早く完成させたいのだが・・・。




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