AWC 男の本棚から  KEKE


        
#513/3137 空中分解2
★タイトル (UYD     )  90/ 7/13   8:51  (200)
男の本棚から  KEKE
★内容
 このろくでもない男の部屋には本棚が二つある。
ろくでもない男の本棚には、当然ろくでもない本が詰まっている。
たとえば『インドを歩く本』とか、雑誌『オートバイ』とか、かと
思えば『年金』の本とか、種種雑多である。
言うところの『汚い本棚』というやつであろう。
相互に関係ない本が、とりどりに並んでいる。

 興味のおもむくまま買っていったらこうなった、といえばカッコ
ウはいいが、要するに何か話の種にならないかと、ゴキブリのよう
に食いついていった結果こういうことになったということであろう
。これから、この男の所有する本について、ひとつひとつ解説をし
ていこうと思う。

 二つある本棚のうちの一つには、百科事典が収まっている。
二年ほど前にある作家が、「作家になりたいんだったら百科事典く
らいは持っていなければ話にならない」と言ったのを聞き、あわて
て買いに走ったのである。
金がないので古本を買った。学研の『グランド現代百科事典』とい
うのがそれである。
そして、それが本棚に収まってしまうとそれで安心してしまい、以
後まったくというほど使っていない。ときとりチラッとその百科事
典を眺めて満足感にひたっている。

 どうもこの男は影響を受けやすいたちらしい。そう言えば国語辞
典も井上ひさしが『岩波国語辞典』がいいと言ったら、さっそくそ
れを買ってきたくらいである。
そして買っただけで満足してしまい、使うことはまず無いのである
。

 本棚の半分に百科事典が収まっていて、その下の棚に小学館版『
日本の歴史』全32巻中の前半の16巻が収まっている。
これも古本で買ったのである。
これを買ったとき、この男の脳裏には、歴史小説を書く司馬遼太郎
の姿が浮かんでおり、よし俺も、などと大胆なことを考えたのであ
る。「いつか歴史小説か時代小説を書く時に必要だからな。」

 それにしても、全集ものの前半半分しか買ってこなくて、あとの
半分はどうするつもりなのだろう。
後ろ半分だけ売りに出ている歴史全集なんてありそうもないのだが
ね。こういうところに、この男の計画性の無さがうかがわれる。

 これでこの本棚の本はお終いである。あとは本以外の雑多なもの
が押し込んであるだけだ。

 さてもうひとつの本棚である。
この本棚には棚が四つある。そのうちの一番上の棚にある本から述
べていきたい。
この棚の半分を占めているのが、山根式袋ファイルである。(知っ
ている?)
本来こういったファイルは大量にないと役にたたない。当たり前で
ある。データなのだから、少しのデータなど意味がないのである。
ところが、この男が、例によって山根一眞氏に影響を受けて袋ファ
イルを作ってみると、なんとたったの15袋しかなかったのである

 いろいろなことに関心を持っているようで、かといってそのデー
タを集めるという作業を全くしていなかったということが、これで
よく分かる。
主なファイル名をいうと、『PC9801』『FM TOWNS』
などなどパソコンが多いようである。といっても中身はパンフレッ
トの類がほとんどであるようだが。

 その隣には『あなたにも似合う「熟年生活」設計ガイド』という
本が並んでいる。そこから少しはなれて『年金のすべて』という本
もある。
どうやらこの男、そろそろ老後のことが気になりだしたようである
。それまで年金のことなんか考えたこともなかったのに、去年から
国民年金に加入して、せっせと掛け金をはらっている。
「先々のことを考えておかねば、悲惨な老後を送ることになってし
まうからな」
と、この男が呟いたのを聞いたことがある。
「やっぱり金持ちの女をひっかけるしかないかな」
この男、三十五過ぎて頭もハゲかけているのに、まだこんなノーテ
ンキなことを考えているらしい。

『BE−PAL THE CATALOG』BE−PALのムック
『バックパッキング入門』、『2輪キャンピングマニュアル』、『
RVキャンピング入門』という本が続いて並べてある。

 この男、最近にわかにアウトドアライフづいている。
なぜそうなのか、この男はよく分かっていないようである。
試験の前に急に小説を読みたくなるのと同じなのである。ようする
に逃げているのである。今一番大事なのは文章を書くことであるの
は明白なのであるが、それはかなり苦しいことなのだ。だから、ア
ウトドアライフに興味を感じているだけなのだ。
この男が本当にアウトドアライフが好きだとはどうにも思えないの
である。
『週末キャンプ』『京阪神日帰りハイキング』『オートキャンピン
グ』

『関西版ぴあマップ90』『オオサカ YELLOW PAGES
』路上観察のために必要な本である。
この男、実のところ家でごろごろしているのが一番好きなのである
が、外で遊ぶとすると、野山よりやはり街で遊びたがるほうであろ
う。街歩きするのに必要な本である。

 雑誌『オートバイ』
全てのバイクのカタログが載っているので買ったのである。
肥満体でバイクに乗れる体格ではないのに、昔の夢を追っているバ
カな男である。

 『百姓になるための手引』
いつか田舎に隠遁して晴耕雨読の生活をしてみたいと、夢のような
ことを考えたりしているのが、この男の甘いところである。
プロの百姓ですらうまくいかず離農しているような時代に、何にも
知らない素人が百姓で食えるわけないことに思いいたらない、甘ち
ゃんの典型であろう。

 『外食カロリーブック』、『1600カロリーで10キロやせる
』
 デブであることが、この男のコンプレックスのひとつである。
若い頃は痩せていたのである。なんとたったの50キロしかなかっ
たのだった。今となっては信じられないことではある。
それがいろいろあって三十過ぎるころから太り始め、いつしか78
キロにもなった。
 この半年、これらの本に従って懸命の減量に取組、やっと68キ
ロまで痩せた。でっぷり張り出していた腹も、いくらか引っ込んだ
ようだ。まだ腹まわりには脂肪がついているが、あと6キロも痩せ
ればなくなるだろうと思う。
今のところ、順調にきている。目標の58キロは、今年中になんと
か達成できそうである。
「60キロを切ったらKEMEと合って性交するんだ」
というのが、この男の願望であるらしい。
「デブとデブの性交は暑苦しいからな。」
いささかあざとい理由であるが、ともかく減量の励みになる目的が
あるのはいいことではなかろうか。
「正月はKEMEと姫始めだな。」

『一太郎4基本操作入門』、『最新はじめてのMS−DOS2』、
『パソコン自由自在』
パソコン関連の本である。
この男が今一番欲しがっているのはパソコンである。このさい先行
投資の意味で、一気に買ってしまおうかと思うときもあるが、しか
し、ワープロがあるのに、本当に役に立つかどうかわからないもの
に大金を投じるわけにはいかない、とも考えるのである。
本だけではなく、雑誌類も大量に買っている。
この分では、遅かれ早かれパソコンを買うことは間違いなさそうで
ある。

『90プロ野球選手写真名鑑』
 本当のこと言って、この男が興味を持っているスポーツは野球、
それもプロ野球だけである。
そりゃ、問われれば『テニス』とか『ダイビング』とか言ったりす
ることはあるが、皆ウソである。ただ単に恰好つけているだけのこ
とにすぎない。そもそも貧乏人だったこの男に、そんなカッコイイ
スポーツなど全く縁がなかったのである。
たとえばスキーなぞ、いまだにお金持ちのするスポーツと思ってお
り、冬にスキーバスなぞ見ると、崖から落ちろ!などと不穏なこと
を考えるくらいである。

 とにかくこの男、少年時代にやっていたのは、野球だけであるし
、現在もウォーキングを除くと、やっている運動は打撃練習場でス
イングするくらいのものである。

 これで、一番上の棚にある本は終わりである。
その下の棚には、『昭和、二万日の全記録』全18巻の13巻まで
が並んでいる。
これを買ったのは、小説の登場人物の背景、履歴の参考にするため
である。つまるところ、この男の小説に登場する人物は、いずれも
昭和生まれであることが予想される。そうすると、その人物が、ど
んな環境に生きてきたかが重要だと思える。それを知るために、こ
の全集を買ったのである。
男は、正直言って、昭和も前期は全く興味が湧かなかった。彼と全
く接点がなかったからである。それが後期の、彼が記憶しているも
ろもろの事が出てくるようになって、にわかに興味が増した。

 たとえば13巻のタイトルは『東京オリンピックと新幹線』であ
るが、あの時代はこんな風だったのかと、改めて感動してみたりし
ている。

 その下の棚には辞典類、マニュアル類が置いてある。
『現代用語の基礎知識』、『大辞林』、『角川類語辞典』、『ワー
プロ漢字辞典』、『日本故事・名言辞典』、などなどである。

その隣にオアシスのマニュアル類が六冊ほど並んでいる。
『BBSガイド』『らくらくキーボード練習帳』『高等社会科地図
』、『日本史教科書』、『世界史教科書』、『用事用語辞典』、

 そして『インドを歩く本』
これは、今有名な『世界を歩く本』の先駆けになった本のひとつで
ある。
この男はこの本を持って二年間にわたってインド、東南アジアを旅
したものである。
いわば思い出の詰まった本である。男はこの本を時折取り出して、
ぱらぱらページを繰っている。昔のことを思い出しているのであろ
うか。

 一番下の棚には電話帳や写真アルバムが置いてある。重しがわり
程度である。

 言うまでもなく、この男の所有する本はこれだけではない。
押入れにも、かなり突っ込んである。しかし、いずれもたいした本
はない。軽いエッセイの類が殆どである。
かっては千冊くらいは持っていたはずであるが、ある日思い切って
捨ててしまった。今は全部合わせても三百冊くらいのものであろう
。いずれにしろ、取っておく必要のある本などほとんどないのであ
る。

 男は、身の回りにはなるべく本を置きたくないと思っている。
なるべくなら本を見たくないのである。
といって、押入れにいれておくには限界がある。




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