#1428/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (CGF ) 89/ 2/ 5 22:48 ( 89)
オリンポス物語(1 <幽霊パニック!>(17) 舞火
★内容
「あたくしは『デルフォイの泉の妖精』。オリンポスの人々への助言のためのコンピュ
ーター。『ドドナの森の樫の木』との対。二台で一台。あたくしは、人々の未来を示唆
するコンピューター」
「こちらはね、もっと身近な個人の悩みなんかに答えてくれるコンピューターです。ア
フロディテの悩みごと相談室にあるコンピューター『ミルテ』と似たようなものだけど
……ただやっぱりオリンポスの未来が根本にある訳だから……」
「オリンポスのためになら動いてくれるって訳」
「そう」
「ま、いいんじゃない。そういうコンピューターがあったって」
いつの間にか妖精の姿は消えていた。
静かな泉。
見事に繁る樫の木の森。
大きく白くそびえるテミスの神殿。
パルテノンは聖域なり。
<σ>
まりあ、アナン、ミュウレミアンの三人は惑星リオヌル出身でなかった。恒星リュカ
オーンの最も遠い惑星スラーの出身者。最も環境が厳しく並大抵では生きていくことが
できない星。中央政府がスラーの居住区を廃止する決定が出た時には、既にまりあ達は
孤児院に入っていた。
だが、スラーで三世代目だった子供達が、既にミュータント化していたことに誰も気
づかなかった。何故なら恒星リュカオーンの他の星では全くその傾向が見られなかった
からだ。
数少ない三世代目の子供達ИИその中でアナンとミュウレミアンがミュータントとし
て生まれた。
アナンはメカニカルに関して異常な程の早熟を見せ、ついには今回電磁場封鎖システ
ムを開発した。それを幽霊騒ぎに用いる所が子供らしかったりするが。
ミュウレミアンはESPだった。
精神制御能力者。人を自由に操った。
そして、中央政府が彼らの能力に気付いた時、彼らは逃げた。
オリンポス、に……。
「だって、やだもん。あたし、アナンもミュランも好きだもん。離れんのやだもん」
これがまりあの理由。
「オリンポスだったらいっぱい機械揃ってて、一杯いろんなものつくれるだろーから」
これがアナンの理由。
「どこでもよかった」
と、ミュラン。「どうして、あいつには僕の力が聞かなかったの」
スパイに効かなかった精神制御。ESP防御システムを装備ИИオリンポスのエスパ
ーが気付かなかったのもこいつのせい、らしい。
子供達はオリンポスの民間区にある孤児院に引き取られた。
<τ>
「で、子供達は?」
「気に入ったみたいよ」
「おとがめなし?」
「まあね。何と言ってもあの子達の罪は密航だけだもの」
「言えてる」
煙と蒸気で天井は雲がかかり、人々のざわめきと食器の音でうるさいくらいのここ、
食堂。
ユーキと舞香は隣りどうし昼食を取っている。ユーキは右腕が使えないものだから、
食べるには不自由なこと。舞香がたまに手伝ってはいるが、その食事も既に三十分近く
かかっている。
「おー、いたいた舞香」
とたん、ユーキの顔が不機嫌になった。
せいきは全く気にするでなく舞香の隣に座る。
「何でもっと開いたとこ座らないんだろーか」
ぼそっとユーキがもらす。
「どこに座ろーと俺の勝手。だろ、舞香」
「ええ、まぁ」
舞香は大きくため息をついた。
最近、せいきがよくまとわりついてくる。よっぽど、仲間外れが効いたらしい。と、
@お@お@ー
どこからともなくどよめきが。
「何だ?」
ユーキが振り向く。
「まさかね」
舞香はいやーな予感がした。
せいきが席を立つ。
「舞香、中心はヘルメスのジェルだよ」
ユーキも浮かぬ顔をする。
とそこに、せいきが戻って来た。
「よっ、舞香。話によると『大農場』の一角にある牧場から羊が三頭逃げ出したってよ。捕まえたら一ヶ月分チーズ無料配布だとっ」
せいきは異様に興奮していた。
「俺チーズ大好き。ちょっくら行ってくらぁ」
喜びいさんでせいきは食事もそこそこ、飛び出してった。
「半分いなくなった」
ユーキがつぶやく。食堂が静かになってる。
「景品つけるから、お祭り騒ぎになるのよっ!」
舞香は机につっぷした。
「懲りない奴らだ」
ユーキは天井を見上げた……。
オリンポス物語(1
<幽霊パニック!>
…森と泉と神殿と…
舞火
(Fin