AWC   ユミアウラ創生紀 第1話<創生神ユミナニ> 舞火


        
#1372/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (CGF     )  89/ 1/21  14:32  (128)
  ユミアウラ創生紀 第1話<創生神ユミナニ> 舞火
★内容
   はるか昔。
   宇宙がまだ混沌でしかなかった時、一つの大いな『意志』が誕生しました。
   生まれながらにして、総ての知識を持ち、使命を知っていたこの大いなる『意志』  を、後の人々はユミナニ。と呼びました。
   ユミナニの使命は、宇宙の混沌を秩序とするものであり、そして、総ての秩序ある  モノを創り出すことです。
   故に。
   三大母神の誕生は必然であった、と言えましょう。
   三大母神たちは、ユミナニの代行者であり、また、総ての母でした。
   ありとあらゆるものは母神たちの生み出したる児であり、ありとあらゆるものは母  神たちを母としました。
   故に。
   ユミナニは最高神と呼ばれ。
   故に。
   三大母神たちは何よりも崇拝されました。

   しかし−−。
   混沌を秩序にする使命は、その使命を果たし得なかったのです。
   混沌の一部は混沌のままに混沌となり、残りました。
   そして。
   混沌よりまた『意志』が生まれ、その名をシトスイと呼ばれたこの『意志』こそ、  混沌こそ宇宙である、という『意志』でした。
   そう−−シトスイは自らが混沌であり、全てが混沌であることを望んだのです。三  大母神が創りあげた秩序である宇宙の破壊、人の苦しみ、正義の破壊、全ての光の滅  亡、悪と闇の世界、秩序のない世界−−混沌故に望むモノ。
   そして−−いつしか悪である心を生長させ、ユミナニの敵となり、ユミナニと三大  母神が創りあげし世界を、破壊し尽くす事を思い、実行に移したのです。
   時、ここにいたり神はシトスイの滅亡のために戦うことを決意されたのです。
   混沌のシトスイは、自らの手先である魔を創り神と戦わせ、魔は人の心に忍び込み  悪をはびこらせ、人を二つに分けました。即ち、正義を護る者と正義を破壊するモノ  −−平和と争い。人はほんのちょっとしたことで神を忘れ、混沌のシトスイと魔族に  操られました。
   最高神ユミナニは憂い、嘆き、哀れんだそうです。人とはこうもはかない心を持っ  ていたのか、と。
   確かに人はその心に善と悪、二つのこころがあるとはいえ……。
   でも、あまりにも簡単に……。
   悪に支配された人、達−−最高神ユミナニは人を愛するが故に、この人達と闘うこ  とに胸が痛み−−。魔に支配されるような、愚かで弱い人−−だからこそ、神は人を  慈しみ、愛されておりました。
   しかし−−これは大いなるパラドックス。
   −−しかし、そんな弱い人だからこそ。
   人は魔に負ける。
   魔に支配される。
   最高神ユミナニは、この愛すべき弱い人達と闘う事を憂いました。そして、嫌いま  した。嫌い−−闘いそのものを、どれほど嫌っていたでしょうか。純粋に正義の神で  あったからこそ、ユミナニは闘いを憎悪して、しかも、愛すべき人達と闘う事を嫌悪  さえしたのです。
   なにより闘うにしても、誰が闘うというのでしょう。ユミナニは秩序あるモノを創  る神。三大母神しかり、です。闘いとは悪−−破壊でしかないのですから。
  ユミナニは悩み、考え、決断しました。それには、長い、長い時が過ぎました。
  大いなる『意志』のユミナニですら悩んだのです。
   故にその意志を三大母神達が否を唱える事など出来ようはずもありません。
   けれど、やはり……。

   そして。
   『ユミアウラ』が生まれました。
   即ち−−三大母神のそれぞれの三人ずつの児である神の力が二十七に分割されて、  闘うことのできる人の体にあたえられたことにより生まれた戦士達。
   神であり人であるもの。
   人であり神であるもの。
   しかし、
   人でもなく神でもないもの。
   永遠の時を生きる力を持ちながら体は人であるが故に傷つき倒れてしまう戦士達。   人でありながら神の力を持つ三大母神の化身達。

   太陽母神アウラの三人の児たち。
    激しい力と人を率いる力を。
     即ち−−炎と雷と風。
   技術母神イナミテの三人の児たち。
    静と動の力と知識を。
     即ち−−海と氷と幻。
   大地母神ガイアの三人の児たち。
    優しさと強さ,生きる力を。
     即ち−−光と命と地。

   炎−雷−風−海−氷−幻−光−命−地

   偉大なる三大母神の児たち。

   長い時の末、それはいつのことだったでしょうか。
   長い時の末、それこそ最強の戦士達となっていった頃。
   ユミアウラは神の力を封印してしまったのです。
   繰り返された闘い。今だ数えられる程とは言え繰り返された転生の末。
   力を封印してしまったとはいえ、人の中においては、確かにその力は偉大で、脅威  なものであったけれど。しかし。
   それは。
   それは、ユミアウラが神であるということを否定した。それこそが、理由。
   彼らは神の力を持つが故に、死すべき存在ではなかったけれど、肉体が人間である  故に、その体の耐久力のみが人間と同じ。永遠の若さを持つとはいえ、ひどい傷を負  えばそれは『死』。
   神である魂は決して消滅することなく、全ての記憶と共に転生を繰り返す。これは、
  激しい苦しみ。新しき肉体に古い傷痕を持った魂が入る。苦しみ……。
   神でなければ!
   人間であれば!!
   それは闘いに明け暮れる戦士達の間に神に対する不満を露にする一族が現われた頃  でした。
   魔族に対するその心意気は変わらないけれど、また。神に対する不満から、勝手気  侭に思いのまま闘う。
   それは九つの一族の中の一つ。
   炎の一族。
   生粋の戦士。太陽母神アウラの児の力を与えられた二十七人の戦士達。
   そして、彼らこそが宇宙随一の戦士。
   彼らは今までのどの一族より乱暴ではありましたけれど、実は知的で洞察力に優れ  人の心をよく知ったのです。全てにおいて優れた戦士。
   そして、人の心をよく知っていたからこそ、人をモノとして扱う全てのモノを憎ん  だのです。むろん、神すら例外ではありませんでした。
   それは、あまりに苦しい闘いであったせいかもしれません。
   彼らは混沌のシトスイが消滅しない限り真の死を受け入れることができないのです  たった一つの逃げ道を塞がれた戦士達の思い。
   そのやり場のない苦しみが神へ−−神の力へと向けられたのです。
   けれど、だからこそシトスイに対する怒りもまた激しく、彼らはまた強くなってい  のです。
   激しい思いをその心に秘めたままユミアウラは闘い続けるのです。

   そして。
   年月を重ねた宇宙が、創造神と三大母神が伝説となった頃。

   ちょうどその頃。
   新しく創られた星に新しい神が降ろされることになりました。
   幾人かの神が宇宙の深淵部から旅立ち、ここオリンポスと呼ばれる地に神殿を築き  神として君臨し始めたのです。
   神と人との共同生活時代の始まりでした。
   天を治めるゼウスは、神の守護者としてユミアウラの恒星系族を連れてきていまし  た。最高神ユミナニの命であったとも言います。太陽系族のユミアウラ、九つの一族  から各一人ずつ九人。
   そうして地球はその歴史を始めたのです。
                  ユミアウラ創生紀 第1話<ユミナニ> (了)



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