#1223/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE ) 88/11/ 3 13: 3 (101)
トゥウィンズ・2 二章 ( 6/11) (12/43) あるてみす
★内容
「お、おい、ちょっと待てよ。その娘って誰だよ。」
「そんなこと言えるわけないだろ。でも、その娘の方にチャンスがあるよう
だったらさ、その時、教えてやるよ。」
「おい、勘弁してくれよ。お前なあ……。」
「もし、ミコちゃんが嫌いじゃないんだったらさ、ちゃんと応えてあげてよ
ね。中途半端じゃ可哀想だから。」
「ったくもう……。」
健司の奴、ぶつくさ言いながら、海の家に向かって行った。
その後しばらく、パラソルの下で、本当に眠り込んでしまった。
どれくらい経ったんだろう。周りが騒がしくなった感じがして、目を覚ま
すと、他の連中が皆、海から上がってきたところだった。
「ふう、疲れたあ。」
とかなんとか、言いながら、パラソルの陰にそれぞれ座り込んでる。騒ぎ
過ぎて疲れたらしい。
康司と一美は皆から少し離れて、二人きりで寄り添って座る。
「まったく、あいつら、よくもまあ飽きねえもんだなあ。」
茂が寄ってきて、そうつぶやく。
「あれ? ミコ、大丈夫なの?」
眠い目をこすりながら由香ちゃんの声の方を見ると、ミコちゃんが健司と
一緒に海の家から出てきてビーチマットに腰を下ろしたとこだった。それを
見た瞬間、なぜか胸の奥がキュンとなった。
「ええ、ちょっと疲れてただけだから。それより皆さん、アイスか何か食べ
ません?」
「そうね、ちょっと冷たいものでも食べたいわね。」
由香ちゃんが同意する。
「じゃあ、ちょっと買ってくる。」
なんとなくミコちゃんと健司が一緒のところを見ていたくなかった僕は、
自分でも判らない妙な気持ちに戸惑いながら、おもむろに立ち上がると、そ
ばにあった上着を肩に羽織って、アイスを買いに行こうとした。すると、
「ちょっと、待ってよ。あたしも一緒に行くから。」
由香ちゃんが一緒に付いてくる。
どういうわけか、僕達が入った海の家を含めて、この一帯の店ではアイス
を扱っていなかったので、浜辺からちょっと離れたところにあったコンビニ
エンスで、シャーベットやかき氷などを適当に九個選んだ。よーく冷えてて、
持ってるだけでも冷たくて気持ちいい。
でも、この炎天下じゃ早く持ってかないと溶けちまうな。そう思って、店
を出てからは少し早足で歩く。
と、店を出てすぐ、
「ねえ、君達、どっから来たの?」
いきなり声をかけられる。見ると、いかにもサーファーというような感じ
の、ちょっとハンサムな男が二人。どちらも整った顔立ちで、茂や真琴に比
べてしっかりした体つき。
由香ちゃんなんか、一発で参ったらしい。
「誰と来たの?」
「あ、友達となの。」
「ふーん。ねえ、俺達と一緒に泳がない?」
浜辺に向かって歩きながら、由香ちゃんは彼らに合わせて話をしてる。
「ねえ、そっちの彼女。ずいぶんおとなしいじゃん。どうしたの?」
どうしたの? なんて言われたって、こういうナンパには慣れてないし、
それに男に興味なんてないから、嬉しくもなんともない。
「君もさあ。一緒にサーフィンしない? 板なら貸してあげるからさ。」
なんか、やたらと親し気に話しかけて来るけど、内心、あまりお近づきに
なりたくない。
適当に言葉をにごしているうちに、浜辺に到着。
「じゃ、友達が待ってるから。」
由香ちゃんと二人で別れようとすると、
「ちょっと待ってよ。サーフィン教えてあげるからさ。一緒にやろうよ。」
と言って、由香ちゃんも僕も手首を掴まれて、引っ張られそうになる。
「ちょっと、離して下さい。」
由香ちゃんは手を振りほどいて逃げようとした。もちろん僕も。と、
「ねえ、いいじゃん。」
上腕をしっかり掴まれて、ちょっと逃げ出すことができなくなった。
「いやっ! 離してよ!」
「離せよ。お宅らみたいな暇人に付き合ってる暇なんかねえんだから。」
「へえ……。君、やっとしゃべったと思ったら、なかなか鋭い言葉遣いする
ね。」
「いいから離せっつってんだろ。」
むりやり腕を振りほどこうとして少し暴れていたら、
「いてっ!」
すぐ横に座っていた人の足を踏んでしまった。
「痛えじゃねえか。てめぇら、何ふざけてやがんだ? あー?」
「ごめんなさい。ちょっと……。」
「ごめんなさいだあ? ごめんですむと思っとんのか? ワリャア。」
よく見るとその人は、ちょっと、いや、かなりガラが悪そうな男だった。
そして、
「よう、どうしたんだ?」
そこへもう一人、ガラの悪そうなのが来た。
「こいつらがよ。ふざけて俺の足、踏みやがったんだ。」
「ほう、そうかい。そいつぁいけねえや。なあ、ボーヤ達。ここは一つ、ワ
ビでも入れてもらおうじゃねえか。」
「あの、すみませんでした。」
僕の腕を掴んでいる方が慌ててあやまる。
「なんだあ? それでワビ入れてるつもりか? 人の足、ふんづけといて、
ごめんなさいだけで済むと思っとんのか? あー?」
後から来た方が、さらに凄む。気障ったらしい男二人は完全に怯えている。
「どうだい。一つワビの代わりに俺達を楽しましちゃくんねえかな。」
そして、その男は由香ちゃんと僕の腕を掴んで、
「痛え目に会いたくなかったら、この娘達を残してさっさと行きな。」
この言葉で、二人はあっという間にいなくなってしまった。
「なかなか薄情な連中だな。ま、代わりに俺達がよ、うんと楽しませてやる
から、ほら、恐がってないでこっち来なって。優しくしてやるからよ。」
そいつは僕の腕を掴んだまま、由香ちゃんをもう一人の男に押しつけて、
そのあと肩を抱いてきた。そして、
「なかなかマブいツラしてんじゃねえか。」
と言って、顔を近づけてきた。慌ててそっぽ向く。と、
「そんなにイヤな顔すんなって。今にいい気持ちになるんだからよ。」
そいつは、そう言いながら僕の背中から胸の方に手を延ばしてきた。
−−− まだあるよ −−−