AWC K&D>「個性美人のスーパースター」 クエスト


        
#1199/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (AWC     )  88/10/22  16:22  ( 61)
K&D>「個性美人のスーパースター」 クエスト
★内容
 メーデー、メーデー!
 制御コンピューターが故障して地球時間でもう数箇月、私の乗り組んでいた定期旅客
スターシップ「ダニューブ号」はだだっ広い宇宙空間を慣性飛行のまま漂っていた。
 故障による自動防衛システムの見境なしの殺戮事件、奇病の蔓延、自殺の続発という
悲惨な事態をくぐり抜け、生き残っているのはジェーンと私の女性二人。
 女はしぶといってか?
 私とジェーンは違うわ。ジェーンは美人のスチュワーデス、この船でももてもてだっ
た。金持ちの乗客、ハンサムなクルー、とっかえひっかえジェーンの個室は夜毎の賑わ
い、あたりかまわぬうめき声、あっ、はしたない。でも彼女の部屋は隣だったし...
 でもね、昔の飛行機と違って宇宙旅行は長くかかるの。確かにジェーンみたいな美人
のもてなしでもなければ、男性客は気が狂ってしまうに違いないわ。
 私といえば必死に勉強して機関士の資格を取ったのに、それはとても大切な仕事だっ
たのに、船では誰も女として相手にはしてくれなかったの。
「パープーのジェーンが何故?」って思ったりして一人寂しく泣いたこともあったわ。
 でも、今は生き残り二人、仲良くやっているけど...

 毎日、必死になってサーチしていた甲斐があった。ナビゲーションシステムのディス
プレイに地球型生命の生存可能な惑星の存在が示唆された。見つけたのはもちろん私。
パープーのジェーンはドラッグでラリっていただけよ。
 それはあくまで可能性、確率は低かったけれど、事故以来私達が暮らしていた緊急脱
出用のボートのエネルギーも尽きかけていたし、私達は最後の賭をすることにした。

 見渡す限りの緑の草原、私達の降り立った惑星は美しかった。私はジェーンと草原を
歩きながらこれから二人、仲良く生きていこうと思った。たとえ誰も見つけてくれなく
っても。たとえ相手がパープーのジェーンでも。あ、はしたないわ。

 けれど、すぐこの惑星の住人達がやってきた。ホバリングする小型飛行機から慎重に
様子を伺った後、私達に危険性が無いことを確認すると皆で降りてきたの。
 私驚いた。だって皆美男美女ぞろいなの。どうなってるのかしら。
 私は少し緊張したわ。だって私外見には自信がなかったし、ジェーンの落ち着きが憎
らしかった。でも皆やさしく迎えてくれたわ。

 私達はこの惑星の都市に連れて行かれた。とても大切にしてもらったの。なんでもこ
の惑星では誰もが美を追い求め進化していった結果、一人残らず美人になったとか。
 でも、やっぱり心の美しさや知性がなければいけないって結局皆悟ったみたい。
 だからジェーンはここでは平凡、頭の悪さだけが目立つことになってしまったの。
 それに引き換え、私の方は個性的な容姿、知的な会話でたちまち人気者になってしま
ったわ。この星ではマスメディアがすごく発達していて、今では私スーパースターよ。
 ジェーンがかわいそうよね。彼女、私のマネージャーをしているの。でもおつむがパ
ーだからよく失敗するの。でも私は叱ったりはしなかったわ。ちょっと機嫌の悪い時も
あるけど...

 地球時間で数年が経った。地球との交信、救助船の出発といったことはとっくの昔の
ことだったけれど、なにしろ時間がかかるのよねー。
 あ、地球でも私のことは有名らしいいけど。個性美人のスーパースターだってーー。
 でももうじきだわ。救助船がここへ着くのは。そろそろ帰り支度をしなくっちゃ。ね
えジェーン。
 あら、ジェーン、怖い顔してどうしたの?いやだそんな顔で近づかないで。私が何を
したっていうの。あ、痛い!何?何か注射したでしょう!意識が薄れていくわ...

「あんたをね、皆帰したくないんだって。あんた、どうして人気があったと思う?それ
はね、あんたが個性美人なんかじゃなく、正真正銘のブスだったからよ。何か知性よ。
自惚れないでよ。本当は私の方がここでももててたんだから。皆が頼むからっていうの
であんたの前ではもてない振りをしていただけよ。あんたの場合は皆珍しがっていただ
けなのよ。だからね、あんたみたいな珍獣はここでずっと皆を楽しませた方が地球のた
めなのよ。パープーの私は帰るわ。帰って散々いい思いをするのよ。それじゃゆっくり
お休みなさい。さよなら!」
 ジェーンが崩れ落ちていく私にいった。

                       Fin.





前のメッセージ 次のメッセージ 
「CFM「空中分解」」一覧 クエストの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE