#1060/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HWA ) 88/ 6/25 14: 6 ( 71)
AMATI's story 30卓の客
★内容
だんぼでおます。AMATI′s storyの2作目です。
駄作でふが、読んでやってください。
「おい。尾崎。ワン アイスミルクティーくれ」
石川さんはそう言った。
また来たのかな?
ああ、やっぱりそうだ。いつもの場所、30卓にいつものお客さんが来てい
る。
いつもの客・・・・・・・・それは、目の覚めるような美しい女の人だ。
ずっと毎日、彼女は決まって9時に、そして決まってこの30卓に一人でや
ってきてはアイスミルクティーを頼む。
たった一人でだ。これほど美しい彼女に彼はいないのであろうか。
いや、いないわけではない。実は、彼女には、彼女にふさわしく、背が高く
がっちりして、それでいて優しさのあふれる、男の僕でさえ見とれてしまう
という彼がいるのだ。いや、いたと言ったほうが適当であろうか。
この恋人同志の中の恋人同志といった二人のデートの待ち合わせ場所は、こ
こAMATIの、他のテーブルとはちょっと違った場所にある小さな卓、3
0卓であった。どうしてこんな卓を選んだのか知らないが、いつも決まって
この30卓を二人の落ち合う場所としていたようだ。
二人は会って、そして楽しそうに話を始める。その様は、見ていて本当にす
がすがしいものであった。二人は愛し合っていた。真の恋人同志であった。
彼女が楽しそうにおしゃべりをしているのを見て、彼に対して、反感やねた
みなどを持ったことはなかった。それだけ二人はお似合いであったのだ。
その彼女が今日も来ている。
あの日を境にずっと一人で。
黙って一人で来ては、30卓にすわり、彼を待つ。
10時の閉店までの間、来るはずもない彼をずっと待つ。
ただずっと、ただひたすら、彼が来るのを待つのだ。
オーダーも頼まずに無言のまま。
ある暑い夜。彼女の愛するたった一人の彼は死んだ。
なによりも心を寄せていた彼は死んだ。冷たい車にはねられて。
彼女にさよならの一言も言わずに。
「おぉい!ちょっとぉ!」
「はい。何でしょう?」
「この卓、いいのかね? 誰もいないようだが」
「は、はい。どうぞ」
「だったら、これ、下げてくれんか」
「はい。どうもすみません」
せっかく彼女が来て彼を待っていたというのに。
無情にも彼女を追いやってどっかりと座った。
しかし、彼女のことを見えない他の人にとっては、 いたしかたないことだ。
ウェイトレスは、一口も飲んでいないアイスミルクティーをトレンチの上に
のせた。
しかし、どうして彼女とは全く関係のないAMATIの人達にも彼女の姿は
見えるのだろうか。彼女は彼を愛すると共に、彼と落ち合ったこのAMAT
Iをも愛していたのであろうか。
そんなことは、どうでも良い。僕達はここに来る人達すべてに対してめいい
っぱいくつろいでもらえれば、それでいいのである。
彼女はアイスミルクティーが好きであった。だから、彼女が来たときにはな
んにも言わなくてもアイスミルクティーを出すのだ。
ウェイトレスは卓上を一通り拭くと、客の注文をとった。
そして、卓を離れるときに、彼女が座っていた席にむかって心の中でこうつ
ぶやく。
(どうもありがとうございました)
DUMBO OZAKI
End of line.