#1056/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ ) 88/ 6/15 17:55 (100)
「R.N.S.」<プロローグ6> Fon.
★内容
「Rpg.Novel.Story.」<プロローグ6> by 尉崎 翻
ダグはゆっくりと自分をとり囲んでいる敵を見渡した。
「「「全部で8人。
思ってたより多い。
「「「宿を最後に出たから、もうちょっといないとおもってたんだがなぁ‥‥
溜息をして、めんどくさそうにダグは身構えた。
敵のチンピラは8人ともブレード系の得物を持っている。
「「「あ〜 かったるい。早くすますか
先にダグが動いた。
自分の正面にいるチンピラに無造作に近付いたのだ。
驚いたのはチンピラだ。
これではまるで“どうぞ斬って下さい”と、言ってるのと同じである。
その驚きが命取りとなった。ダグは右手を伸ばし水平にチンピラの首を叩いた。
ゴキッと嫌な音がしてチンピラの首があらぬ方向へ向く。みてれば滑稽だがやられ
た本人はたまらない。パクパクと酸欠の魚の如く口を開閉する。本人は必死に叫んで
いるらしいが全く声が出ない。
「動かんほうがいいぞ。死にたくなかったらな」
小馬鹿にした声でダクが酸欠魚のチンピラに声をかけ、クルリと背をむけた。
酸欠魚のチンピラがよせばいいのにダグを斬ろうと一歩踏み出した。
ゴキッ
再び首から鈍い音がしてグエッと潰れた声を出しその場でくずれ落ちた。
「‥‥‥いわんこっちゃない」
横目でチラッと見ながらのダクのあきれ声。
「て、てめぇ!なにしやがった!!」
ここで初めてチンピラの仲間が口を開いた。
「人間の身体ってのはな」ゆっくりとした口調でダク。「頑丈のようで脆く、脆いよ
うで頑丈なんだ。わかるか?」
「な、なんだと‥‥‥!?」
おもわずチンピラは聞きかえす。
ダグはフッと笑い肩をすくめた。
「わかんねぇだろうなぁ。俺だってわかんねぇんだから」
「ふ、ふざけるな〜〜〜ぁ!!」
それが合図となった。
チンピラ7人が一斉にダグに斬りかかる。だが、既にダグはいない。
ギャーッ!と、一人のチンピラが悲鳴を上げた。見ればチンピラの左肩から先がな
く、肩から血がわき水のごとくふきだしている。左腕は「「「「ダグだ。
チンピラ達から少し離れてダグが左腕を棒っ切れを持つように掴んでいた。それを
ポイッと元の主の前に投げ出した。
「この野郎ーーーーーっ!!!」
ダグの行為にようって逆上したチンピラがダグに突進した。ダグの体がフッと消え
る。下だ。身体を沈めてチンピラの脚に手を絡める。再びチンピラの悲鳴が聞こえ今
度はチンピラの右脚がもぎとれた。噴水口が一つ増えた。間髪をいれずダグが一腕一
脚を失ったチンピラに進み寄る。右手を軽く内側 「「「そう、ボールを持っている
ように指を内側に曲げている。
「サイッ!!!」
ダグが叫びと共に右手を相手の水月に叩きつける。
ボンッ!と、鈍い音が聞こえた。なんと、チンピラの腹から背中にくりぬいたごと
く丸い穴が出来ており、おびただしい血と臓器がドボトボ流れ出している。
「「「 魔法か!?
その場にいた最も賢いチンピラはそう思った。彼がもう少し魔法に詳しければダグ
の魔法が聖,闇,神,精霊のどの魔法とも異質であることに気付いたかもしれない。
彼を含めた「「「残り6人のチンピラが先の二人と同様、ただの肉の塊と化すのに
そう時間はかからなかった。
「なによ...なによ、なによ、なによ!なによ!なによーーーっ!!」
と、ティスタは叫びまくっていた。
うじゃらうじゃらとチンピラ達が彼女のまわりを取り囲んでいたのである。
ざっと見て十数人。数人はどこぞで見た覚えのある顔だ。中に昨晩ティスタに投げ
飛ばされた路線顔面の大男も存在していた。
昨夜のティスタの実力を見たためか、チンビラ達は遠巻きにティスタの様子を見て
いる。ティスタは既に剣を腰の鞘から抜いているが一歩近付けば一歩相手が遠のくの
だ。いっそのこと勢いよく飛び込んでやろうかとも思ったが、この人数では無傷です
む確率は少ないであろう。
それに‥‥‥ティスタには判る。
チンピラ達の中に腕のたつ人間がいることが。天性の戦士としての感覚がヒシヒシ
とその気配を感じとっていたのだ。
グイッとチンビラの中から一人の男が前に出てティスタの正面に立つ。
「「「こいつだ!
ティスタの頭にピーンと信号が出る。背は高い方だ、先程のリクト位だろう。カミ
ソリの刃を感じとらせる程の雰囲気がその男から漂よい、眼つきが鋭く、得物に細身
の剣を持っている。
「「「チンピラの中の用心棒みたいな奴かしら
そうティスタがふと思ったときその男が口を開いた。
「ふん。娘とは聞いたがこんな小娘にやられるとは、なさけない‥‥」
視線がギロリと昨晩の路線顔面の方へ向く。
「なぁんですってぇ!?」
ティスタが大声で叫び上げた。‘小娘’というスペルがカチンと頭にショックを伝
えたのだ。
「小娘とはなによ! ばかにしてっ!! その首、引き千切られたいの!!」
ティスタの声の迫力にやや気おされされた男だが一間置き、細身の剣先をティスタ
の方へ向けた。
「やれやれ、元気な小娘だ」
男は自分の剣術には絶対の自身があるらしい。確実に見下ろした態度と口調である。
ティスタが慎重に構えた。
男の剣先が動く。迅い! ティスタは防御に移り、剣と剣がぶつかり合う音が弾け
た。二人が離れる。ティスタの左肩の防具が切れ落ちた。
その仕種がチンピラ達の眼には、男が手加減し遊びでティスタの防具を斬ったのだ
と映り、まわりから歓声が上がった。
だが男の顔つきが変わっていた。男は今、ティスタの左首筋から一刀で斬り捨てよ
うとしたのだ。だが、ティスタはそれを受け止めた。男は全くの手加減をしていない。
「「「この小娘、ただもんじゃない!
完全に自分の方が勝っているという考えが消し飛んだ。だが、やっと受け止めてる
程度であろうと、彼は思い、再び剣を構えた。
「たいしたもんだな、小娘。このLV(レベル)7の剣士だった俺の剣を受け止める
とはな」
それを聞いてティスタが、微笑んだ。
「LV7? 見掛けよりたいしたことはないのね。それに頭もね。なんせLV8の戦
士に喧嘩売ってるんだから」
<つづく>