AWC 深夜連載小説「噂のスーパーガール」(4)クエスト


        
#917/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG     )  88/ 3/20  16:16  ( 39)
深夜連載小説「噂のスーパーガール」(4)クエスト
★内容
 健作はしばらくはおっかなびっくりの毎日であった。
何しろ夜の10時をまわると女の子になってしまうのだ。
それはえらいことでっせー。
急にふくよかになる胸。急にに引っ込むのど仏。そして...
とにかく完全に女の子になってしまうのだ。
「狼男は月夜に狼に変身するが、よなよな女の子に変身する僕は一体何なのか」ハウリングばりに身悶えて女に変身しながら健作は思うのであった。
 鏡の前で麗子からもらったヘアピースと下着を着ける。
健作はもともとハンサムで色白だったので、鏡に映るその姿は長い黒髪、つぶらな瞳、
柔らかな肩と胸の線。そしてくびれたウエスト、すらりと伸びた脚線美、ちょっとした
モデルかアイドルというところ。思わず自分に惚れ惚れとする健作であった。(あほか) 健作が早く部屋に引きこもるようになったので、健作の母親は上機嫌であった。
健作も高校二年生。そろそろ受験勉強に身が入ってきたのねと、勘違い。健作がよなよな女に化けていると知ったらきっとショックで寝たきりになってしまうだろう。
 しかし、妹の明美はなにやら胡散臭いものを感じていた。おにいちゃんはもともと要領がよくてそんなにがりがり勉強しなくてもよくできてたのに、最近何かおかしい。そりゃ受験は大変だけど、おにいちゃんらしくないな。とは思うものの、今のところ何がおかしいのかよく判らないのであった。
 しばらくの間は健作はおとなしくしていた。せいぜいが鏡に変身した自分の部分を映して首をひねる程度。しかし、いくらしげしげと覗いても、何かはっきりとしないのであった。(なんのこっちゃ)
 一度そうやってしげしげと首をひねっている所に、妹の明美が急に入ってきたことがある。「!」健作は目を丸くして明美を見つめると、下着を慌ててつかみ、窓から飛び出した。幸い健作は2階ではなく、1階に部屋を持っていたのでそういう芸当ができたのだ。「まあ、おにいちゃんたらガールフレンドを連れ込んでいたんだわ。不潔!」
「すっ裸で何してたんでしょ、あの人。変なところを覗いたりして。ひょっとして避妊具、きゃーーー、H!でも、おにいちゃんはどうしていなかったのかしら」
「それに、あの女の人、どこかで見たことがあるみたい。おかしいな」
自分の部屋に慌てて駆け戻り、心臓をどきどきさせながら明美は思うのだった。
健作が暫くしてこそこそと部屋に戻ったのは言うまでもない。
 その事件がむしろ健作に度胸をつけた。「そうだ。こそこそとしていることはないんだ。妹の明美でも僕のことに気付かなかったんだ。どうせ1月だけのこと。楽しんでやる」 健作は麗子を呼び出して、このことを麗子の両親にばらすと脅し、スカートやブラウス、シャツ、スーツ、化粧品と、ドレスアップグッズを暫く借りることに成功した。
 その夜、健作は夜になるのを待ち焦がれ、変身するといそいそと麗子から巻上げた服を身につけた。そして密かに買い求めた女性誌を参考にして、化粧すると勇んで夜の街へ飛び出して行った。親が泣くぞーーーーーー、健作!

                        つづく




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