#812/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (BMD ) 88/ 2/26 10:55 (109)
珍作劇場> あなざー 白雪姫(1) COLOR
★内容
*** プロローグ ***
「鏡よ、今日こそは真実を教えておくれ」
上からローブをかぶった一人の女が鏡に向かって嬉しそうに話かけています。
すると驚いた事にその鏡は話始めました。
「はい。なんなりと御質問を」
女はニヤリと笑みをこぼすと再び鏡に問いました。
「この世で一番美しい女は誰?」
「はい、それは森に住んでいる白雪姫です」
鏡は禁句を平然と言ってのけました。すると女、いや白雪姫の継母の頭からローブが
とれ、そこからこの世の物とは思えない怒りの形相が出てきてこう叫びました。
「くっ、殺した筈の白雪姫が生きていただと? なんていまいましい白雪姫め。今度こ
そ私、自らの手で葬りさってくれるわっ!!」
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1988年 2月25日
珍作劇団公演 「あなざー 白雪姫」
SCENE・1 「森の攻防戦」
by COLOR
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*** そして舞台は森へ ***
魔法にたけている継母は通信販売で購入したお気に入りの水晶玉をデーブルの上に乗
せました。通信販売だからと言って馬鹿には出来ません。ちゃんと豪華牛皮製水晶ケー
スまでついているのです。
「ふふふ、白雪姫よ、呪い殺してあげるわ」
さすが昔話での意地悪の代名詞「継母」、相変わらずの強さです。
そして閉じていた目をカッと開くと水晶をにらみつけこうつぶやき始めました。
「えろえろえっさむ、我は望み訴えたり。白雪姫の命を我に与えてたもれ・・・」
そして30分後
「はぁはぁ・・・」
継母は肩で息をしていました。どうやら流石の継母もよる年波には叶わぬようです。
これでは白雪姫を呪い殺すどころかこのままでは自分がこの世から去る羽目になってし
まいます。
「ちっ、仕方あるまい」
継母は豪華牛製水晶玉ケースに水晶をしまうと森へ行く支度を整え始めました。
「もぉりへゆきましょぉぉぉ むっすめっさん。らんらんっ」
何か勘違いしているような歌声も高らかに白雪姫の継母・・・あれ、違うぞ?
でもこの声は? あっ継母が老婆に化けているんだ。それでは続きをどうぞ
老婆に化けた継母は森道をズンズンとつき進みます。なかなか歩きやすい森道です。
これも王様の政治の賜でしょうか。
「「「「!!」
突然、気持ちよく熱唱っている姿を事もあろうに白雪姫に見付かってしまいました。
驚いたのは継母です。コブシを利かせている最中だったため下手をしたらいってしま
う所でした。でも幸いなことにローブを上からかぶっていたためか白雪姫は老婆の正体
を見破っていないようです。
「・・・お婆さん。だいじょうぶ?」
誰からも愛されている白雪姫はこう言ってのけました。
少々恥ずかしくなった老婆(継母)は赤面した顔を隠しながら返答しました。
「だ、だいじょうぶよっ。ほらっ」
老婆に化けた継母は軽く得意のフォークダンスのステップを踏んで見せました。
(黒ぶち眼鏡は掛けなかったようですね)
それを見た白雪姫は再び言いました。
「「「「ホントに大丈夫?」
本気で心配しているからたまりません。老婆の姿をした継母は右の拳を2回3回と握
ってどうにか耐えていました。思い起こせば本気でズケズケと物を言うこの性格も継母
に嫌われている一因でした。正直過ぎるのも考え物です。
気を取り直して作戦を実行する事に決めた継母はアドリブつきでセリフを言い始めま
した。なかなか素人とは思えない読み方です。
「大丈夫だったら。ところで貴方はイマドキ珍しく優しい娘だね。お礼にこのリンゴを
あげよう」
老婆に化けた継母は真っ赤なリンゴを白雪姫に渡しました。白雪姫はパチクリと可愛
らしい目を動かすと意味を呑み込めたのか無邪気に喜びました。
「やっだぁぁぁぁ〜 可愛くて優しいなんてぇ。私照れちゃう」
全然照れてないクセに付け足しまでしおって。まったくこのガキは・・・
と内心思ったかどうかは定かではありませんがとにもかくにも白雪姫にリンゴを渡す事
に成功した継母は白雪姫と別る事にしました。
「じゃ、私はこれから用があるから・・・」
「はい。それでは正直なお婆さん さようならっ」
すっかりルンルン気分の白雪姫はさっきの歌の件も忘れ去っていく老婆(継母)に手を
振りました。
残った白雪姫は手渡された真っ赤なリンゴをジッと見つめました。
もちろん「ふじ」とか「どくいりきけんたべたら・・・」なんてシールは貼ってありま
せん。でも今が食べどきなのは間違いないでしょう。
白雪姫は考えました。小人達の家へ持ち帰ったら8等分しなくてはなりません。食料
事情のいい小人達はそれでもいいかも知れませんが何しろ白雪姫は今が育ち盛りですか
らとても耐えられません。
「よし、食べちゃおう。毒見よ、毒見」
白雪姫は姫らしからぬ行儀悪をしてリンゴを頬ばりました。
まさか本当に毒が入っているとは思わなかったのでしょう。白雪姫は目を白黒させると
いう大技を披露すると、その場へ倒れてしまいそして見る見るうちに白くなっていきま
した。
そして白雪姫の横には姫の歯形をくっきり残したチェ○ノ○イリ産(そんなバカな)
のリンゴが転がっていました。
あっとこれは余談ですが白雪姫は生前、歯そう膿ろうではなかったようです。
<つ・づ・く> 1988年 2月25日
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< 舞 台 裏 >
うぅむ久方ぶりの「あなざー」シリーズですね。ちょっと文に変化がついたかもしれ
ません。ま・・・つづくらしいですから軽い気持ちで見てやって下さい。
あれれ? 100行制限オーバーだっ!!