AWC 新リレーA> 第3回 そんなこんなで偵察開始!  メガネ


        
#689/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HRJ     )  88/ 1/15  19:28  ( 61)
新リレーA> 第3回 そんなこんなで偵察開始!  メガネ
★内容

 場面は変って…祥子の部屋。
 「直美、気にならない?」
 「…なにが?」
 「深雪のコト」
 「べ…別に…」
 直美がうつむき加減に答えた。
 祥子は直美の心も知らずに話を続ける。
 「そお? …ね、少し見に行って来ない?」
 「そんな…悪いじゃない」
 「遠くから見てれば大丈夫よ! それに、これもあるし」
 祥子はタンスの横から奇妙な黒いカバンを取り出した。
 「これ、何?」
 「へへへへ…ほら」
 開かれたカバンに入っていた物は…口髭、カツラ、眼鏡、ゴム…。
 「これ…何?」
 「直美判らない? ほら、前、TVのコマーシャルでやってたじゃない。煙草の
宣伝で、『スピークラーク』ってやつ。ああいう変装用具ってとこかな。この前の
夜店で面白そうだから買って来たんだけど…こんなところで役に立つとは思わなか
ったわ。」
 祥子はもう得意満面。アタシのする事は全て正しいのよといわんばかり。
 「でも…待合せの時間が判らないわ…」
 「推理よ推理! 陸上部は日曜でも午前中だけ練習があるのよ。とすれば、鈴木
先輩がフリーになるのは午後。学校から真っ直ぐ現場に向かったとしたら、まあ大
体1時前後には到着する筈よ。」
 もうコロンボ顔負けの推理である。何が彼女をそうさせるのか。
 「さ、さ、早速変装して行きましょう!!」
 乗り気にならない直美を無理やり別室へ連れていってなにやら一騒動。

                  ☆

 「おい、秘密諜報員からの報告はまだか」
 「は…今しばらくお待ち下さい…」
 場所は変って佐藤邸。実は佐藤義彦はかの有名な<佐藤砂糖会社>の後継ぎ息子
なのだ。父親、佐藤彦三が一代で大砂糖会社を建設し、「佐藤の砂糖」というキャ
ッチフレーズで一般大衆に広め、膨大な利益をあげた。日本でも指折りの財閥であ
る。その後継ぎ息子、佐藤義彦は深雪と鈴木の行動を掴むべく、秘密諜報員を町内
に放っていた。(ちきしょう、鈴木の野郎。深雪に手をだしやがって…みてろよ、
必ず俺が勝つ!)と、これは義彦の心の中。
 「くそー! 遅いぞ!」
 義彦はもう爆発寸前。
 「若! 只今秘密諜報員が1名、帰ってまいりました!」
 「そうか、よくやった! 直ぐ通せ!!」
 すらりとした脚。きりっと引き締まったマスク。いやに決っているサングラス。
諜報員No.5が義彦の目の前に来た。
 「御報告申し上げます。鈴木と深雪合流地点は午後1時、北東百貨店西のバス停
です。深雪は既にバス停で待機しています」
 「…よくやった。では俺も早速行く!」
 「一寸御待ち下さい。実は鈴木と深雪の行動を監視する為にもう一つのグループ
が行動を始めています。」
 「それは祥子と直美だな…ハハ、やりそうなこった」
 「後もう一つ…これは未確認なのですが、もう一グループが行動を開始してるとい
う情報も入っています」
 「もう一つ? 誰だ? …神月…そうか、奴ならやるかもな」
 「若、くれぐれも御身辺に注意して下さい。今回の事は只ではすまない様な気もし
ますので…」
 「ハハハ、心配するな。」
 かくて、鈴木と深雪のデートを巡って一騒動起きそうである。

                        <つづく>





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