AWC 詩篇 空中の書31(了)  直江屋緑字斎


        
#378/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (QJJ     )  87/10/ 5  11: 1  ( 40)
詩篇 空中の書31(了)  直江屋緑字斎
★内容
<水の眠り 40行>

   水の眠り

なでしこの散るホタル
器と器の重なり
骨のつながり
かすれた色の花びらが
さわさわと
砂となりてこぼれ落つ

数ヘクタールの皺(しわ)、父祖の脈搏(みゃくはく)
雪を割って
光の帯となり
過去をいままた過去として
とどこおる川、小川よ

水を洗うべし
たたえられたものは味方ではない
むしろヒユ
それもテランセラ
はだらの中に血のにじむ

水を透くべし
こねて叩くべし
いさぎよく匂いを消し
そして静かに死なしめる
だが

だが
半肉体と半精神の
輪郭のなさは危険だ
室内は眼の袋
祈りの手が窓櫺(そうれい)を破る

息をころしたパイプオルガン
神の形を遺すしおれた布
白磁の中に眠る水
革命以前に建てられた教会は
いまは傾いで立入禁止




前のメッセージ 次のメッセージ 
「CFM「空中分解」」一覧 直江屋緑字斎の作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE