AWC 詩篇 空中の書23     直江屋緑字斎


        
#352/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (QJJ     )  87/ 9/24  10:18  ( 35)
詩篇 空中の書23     直江屋緑字斎
★内容
<人形たち 35行>

   人形たち

人形が数体
m古用のバス・ドラムの腹に
沙の涸(かわ)いた喉笛に
詩人の義眼の中に
玉葱(たまねぎ)の海に浮かんで
火傷のために
鋭い声をあげている

土の底に月ごとの滴を注ぐため
遥かな青空に噤まれた言葉を与えるため
時という虫に啖(くら)わせるために

折れ曲がった手足
むしられて逆立つ金髪
抉(えぐ)られた眸(ひとみ)の奥のぜんまい
ぬりたくられた狂えるもの

彼女たちはよみがえる
きまって深更
一瞬の夜宴(サバト)
ありとある家々で
あふれる空気の中で
世界を腐敗させる
峻烈(しゅんれつ)な意志

海に浮かぶ館の
とある部屋の片隅に
かくのごときを記す書物がある
つまり
海の歴史しか持たぬ
あらゆる家々の




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