#350/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (BMD ) 87/ 9/22 23:57 ( 62)
「こ・こ・ろ・が・・・」 ・COLOR
★内容
まずは特別賞ありがとう。で、クエストさんの助言に従い2匹めのどじょうを
狙っています。読んだ人感想くださいネ。
S.62/9/22・COLOR
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人はなんで悩むのだろう。
いっそ心などなければいいのに・・・
「がたん、ごとん ガタン、ゴトン」
レールの音がする。この夜行列車はどこへ行くのだろう。いいや僕には関係ない。
とにかく遠くまでいければいいさ、ここから少しでも遠い土地へ。彼女が泣いてるこの土地から・・・少しでも。
僕はなぜあんな事を言ってしまったのだろう。ひどいひどい事を言ってしまった。
彼女はあれからひどい人間不信になってしまったらしい。家に閉じこもり誰とも会い
たがらない。むろん僕にも。
「フシュウ」
ドアが閉まる音がする。
1万1千円で買った切符を僕は軽く握った。
「かたん、コトン、かたん、コトン」
列車は走る。疲れている人や喜んでいる人を乗せて。
人間の喜怒哀楽など様々な心を乗せて。
ただなんでもないかのように夜行列車はただ目的地に向かい走っている。
「ふう」
僕はため息をつくと窓をみた。流れる夜景と僕の顔がどちらも悲しそうに映っている。なぜ夜景はあんなに悲しく光っているのだろう。
なぜ僕は涙を流しているのだろう。
そう考えると感情という魔物に流されている自分がとても滑稽に思えた。
「・・・で終点です。」
僕は車内放送で目が覚めた。いつの間にか眠っていたらしい。
時計を見ると《PM11:30》となっている。
「カタン、ことん カタン、ことん」
列車は終点の小さな駅に入って行った、そして僕は改札をぬけた。
「・・・!」
言葉がでてこない。夜空には数えきれない程の星が散らばっていた。
だがここでは言葉は意味を持たないのだ。人間が話す言葉なんてここではとても白々し
く感じる。
そう、例え一千の言葉で語りかけても星には届かないだろう。
でも心なら、心で星に語れば届くかもしれない。
なんの根拠もないけど、いや根拠なんかいらない。僕はそう思った。
星は温かい。悲しく冷たい夜景とはちがって・・・
涙を流している僕はふとそう感じた。
こうして星に語りかけている自分はとても大きく感じる
友人は星を見ると自分が小さく感じると言っていたが僕はそうは思わない。ここで星
を見ている。生きている。そう感じただけで自分が言葉を超えた存在になってると確信
できるからだ。
僕はなにを悩んでいたのだろう。結局真実から逃げていただけなんだ。そう、そんな
僕に星は教えてくれた。涙を流せる喜びと、感動できる素晴らしさを。
そして自分の大きさを。
空はいつの間にか明るくなっていた。
そして僕は帰りの列車にゆられている。
お わ り
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