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詩篇 空中の書20 直江屋緑字斎 |
#337/1850 CFM「空中分解」 ★タイトル (QJJ ) 87/ 9/14 11:43 ( 16) 詩篇 空中の書20 直江屋緑字斎 ★内容 <人類の鉱脈 15行> 人類の鉱脈 烟(たばこ)草のあるところにライターがあると決めてかかって、 書物の蔭の烟草(たばこ)の箱に手を伸ばすとライターの影も形 もない つまりこういうことだ たしかに烟草(たばこ)と一緒 にライターを置いたのだが、それは新聞の蔭であってこちらでは ない 烟草(たばこ)は二つあったのである なにやら嫌な気が して頭を軽く左右に振っていると、耳の奥で澄明な鈴の音がした 耳朶(じだ)はやわらかくて気持のいいものだが、あの洞窟はい くぶん気色が悪い ひとりで侵入してみたが、誰もいないので閉 口した たしか帆柱をあげて素晴しい勢いで航海したのだが、い まや寸秒 そうこうするうち燦然とした都市に着いていた この ときは鈴の音が高楼のてっぺんに突き出た尖塔に発していると知 っている
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