#3637/3650 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 25/09/29 19:59 ( 27)
トリックとミステリの話 永山
★内容
“トリックの素晴らしさを伴ったミステリ”という基準で見るに……。
いやあ、島田荘司は最高レベルに厳しく見積もっても、『占星術殺人事件』と『斜め
屋敷の犯罪』で二発はありますって。これらに加えて、『奇想、天を動かす』『異邦の
騎士』『北の夕鶴2/3の殺人』は余裕で傑作の合格ラインを超えるはず。そして『水
晶のピラミッド』と『暗闇坂の人喰いの木』が続く感じでしょう。
順序が前後しますが、トリックの数。
「頭の中に50個ぐらい」トリックを……というのは、50個すべてオリジナルのト
リックという意味ではないですよね? もしそうだとしたらさすがに厳し過ぎる。(^^;
感覚的な話になりますが、ミステリを創作する(もしくは新たなトリックを考える)に
際して、頭の中でストックしておく――すぐさま比較検討できる状態になっている――
ことができるトリックの数を仮に50個とすれば、その内の30個、六割ぐらいは既存
の代表的なトリック、有名なトリックで占めておいていいと思います。半分より多くし
たのは、既存のトリック同士を組み合わせることでも新たなトリックが生まれる場合が
あるというのを意識するため。ちょっとこじつけですが。
残り20個がオリジナルで、理想を言うと、その内、長編ミステリに使える・使えそ
うな大ネタが2〜5、短編ミステリに使える・使えそうなネタが10個前後。それらを
合計して、20に届かない分は、「海の山とも山のものともつかないけど使えるかもし
れないアイディアの種」みたいなもので埋める。
こんな具合に脳内リストをセットしておいて、新しい作品を読んだり、新しい情報・
ネタを得たり、あるいはアイディアが閃いたりしたときに、脳内リストと照らし合わせ
て組み合わせを考えることを日頃から習慣づける。
まあ、脳内リストにあるトリックの具体的な数については、適当というか大雑把な値
ですが、ミステリのプロットやトリックを考えるプロセスは、だいたいこんな感じでや
っているかなと、今回のやり取りで改めて認識した次第です。
ではでは。