#3635/3650 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 25/09/28 21:45 ( 33)
トリックの新奇さ 永山
★内容
基本的には、どこかで似たようなのを見たことあるトリックよりも、新奇なものの方
が評価されると思います。
ただし、それまでにないトリックがイコール新奇なトリックと単純に言えるかという
と、そうでもなく。簡単な例を挙げると、ドローンを用いた密室トリック(内側から施
錠する)なんてのは、新奇性という観点ではあまり評価されないかもしれません。部屋
の鍵を内側からドローンを使って掛ける、というのはドローンというツールが目新しい
だけで、意外性や面白みを欠くから。
これが別の形、たとえば(実際に商業作品で読んだことがあるのですが)、ドローン
を用いた叙述トリックというのを実現させたのなら、凄い・新しい、と読者の驚きを呼
ぶことになる可能性が高まるでしょう。
あと、新奇性は新しい技術や奇抜な設定を取り入れることだけではない、とも言えま
す。既存のアイディアの組み合わせの妙・組み合わせの新鮮さで魅せようとする作品は
たくさんあるでしょう。たとえば『容疑者Xの献身』は@@トリックと思わせて実は*
*トリックだったというのが肝でしたが、あれも組み合わせの妙と言えるかと。
「ドローンで叙述トリック」というのも、組み合わせと言えなくはないですしね。
今村昌弘が二作目以降苦心したかどうかは分かりませんが、二作目、三作目と高い評
価を得ているようですし、二作目『魔眼の匣の殺人』を読んだ人達の感想に、「一作目
でハードルが高くなる中、二作目にこれが書けるのは凄い」みたいなのを見掛けた憶え
があります。
直接の関係はない、ついでの話。
今年の頭ぐらいから“本格ミステリを書こうとするなら知っておくべき小説作品及び
そのトリック(江戸川乱歩『続・幻影城』『類別トリック集成』以降・国内編)”なん
てことを考えて、リスト作りを試みたのですが、どんどん増えてしまって、少なくとも
五十に達する状況。(^^;
“読んでおくべき”ではなく“知っておくべき”としたのには、読まなくても最低限
ネタだけは押さえておけというニュアンスを込めたかったからなのですが、それにした
って五十は多過ぎる、読書歴が豊富でない人でも本格ミステリを書いてみようと思える
くらいのコンパクトなリストが望ましいと感じ、中断したきりになってしまいました。
ではでは。