#2348/3571 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 22/09/08 16:40 ( 30)
よいアイディアに粗い処理 永山
★内容
ドラマの感想>
NHKで放送の海外ドラマ「アストリッドとラファエル」第六回『閉ざされた部屋』
を録画視聴。ネタバレ注意です。
のっけから密室の謎が提示されるという、いかにも本格推理風の出だし。期待が高ま
りましたが、トリックの方は密室を作るというトリックではなく、毒殺トリックとすべ
きもので、ちょっとがっかり。
しかも、犯人がどうしてこのトリックを用いたのかが、よく分からない。一応、自殺
に見せ掛けるためなんでしょうけれども、その割に、被害者の部屋に毒の入った容器を
置くことを忘れているし、全部持ち去るべき原稿は一枚落としているし、計画的なのに
おっちょこちょい。
犯人と被害者の立場がくるりと入れ替わる流れは素晴らしい。画像の陰と陽が一瞬に
して切り替わったような、鮮やかさを感じられました。納得感を点っていたからこそ、
効果的に機能したんでしょう。
ただし、首を傾げた箇所もありました。アストリッドは小説を読んで、二人がそれぞ
れ書いた作品が、実は一人の手による物であることを看破しましたが、そもそも、現場
にあった一枚きりの原稿及びあとから出て来た残りの原稿には目を通さなかったのか。
ほんの数ページでも読んでいれば、「この原稿は二人の手が入っている」と感じたので
はないか。想像するに、制作陣が、“入れ替わり”をきれいに見せようとするあまり、
細部をすっ飛ばして話を進めてしまったんじゃないかという気がしないでもなし。
制作陣のお手つきはもう一点。犯人は被害者の部屋を何度も出入りししているのに、
最初の頃の捜査では「訪ねてくるのは編集者一人だけ」とかで押し通し、あとになって
犯人が姿を見せていたと言及するのは、ずるい。
アストリッドに、母親が見付かったことを伝えるも、当人は(母親について何も記憶
に残っていないこともあり)意に介してない様子。これは意外だった。けれども、独り
になるとそれなりに思いが募るのか、母親が置いていったらしい箱根細工をずっと触っ
ている、という描写はうまいな。
アストリッドのキャラを活かした笑いを誘う場面もたくさんあり、だいぶこなれてき
ている印象。この調子で、より練り込んだ脚本で唸らせてもらえたら最高です。
ではでは。