#1995/3584 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 21/11/07 20:18 ( 42)
みんな真面目か 永山
★内容
お笑い芸人の陣内智則が、郵便局員をネタにしたコントでプチ炎上し、謝罪したとの
こと。
私はそのコントを観ていないんですが、局員が「暇だから」という理由で収集された
手紙を勝手に開封し、中身を読み、そこから笑いにつながる内容みたい。クレームの方
は、局員のやっていることは違法だという指摘が主らしい。
炎上の規模(クレーム数)が分からないし、そもそもクレームを入れた人達のどれほ
どの割合が本気で言っているのかも分からないので、とりあえず、こんなことまでニ
ュースとして取り上げるなんて、ややこしい世の中になったものだとしか。その内、“
法律を守らない者がいるこの世界はおかしい。謝罪しろ!”とか言い出したりして。
登場人物が法を犯したらだめと言うのなら、ほとんどの推理物やコントの大半は恐ら
くだめになるやん、ネタをネタとして観られないでどうする……ってな当たり前の反論
をするのすらしんどい。この手のクレームをする人の何割かは、“ネタをネタと分かっ
ているけれども敢えてネタと思わずマジに受け取る”という芸をやってるんじゃないか
しらん。
さて、この記事を取り上げてみた本目は、別にあります。
ご存知の方も多いと思いますが、いくつかの創作物語が抗議を受け、中にはお蔵入り
になっている、ある意味お馴染みの事柄があります。それは、「図書館の司書が独自の
判断で利用者の情報を第三者に閲覧させる」シーンのある作品。有名どころでは、ドラ
マ「相棒」の1エピソードが、“図書館を訪れた主人公の刑事らの(令状なしでの)求
めに応じ、司書が奥の部屋に案内して、ある利用者の貸出履歴を自由に閲覧させる”と
いうシーンに、図書館協会から抗議が来て、テレビ局の判断でお蔵入りになったとか。
これに対しても「フィクションなんだから目くじらを立てるなよ」「違法捜査がだめ
なら引っ掛かる刑事ドラマなんていくらでもある」といった擁護があるのをネットで見
付けたんですが、ちょっと違うんじゃないかと。
私、司書講習を受けたことがありますが、それとは関係なしに、まず、物語としてだ
めだと思う。刑事が捜査して情報を得る、その捜査方法が実際にはあり得ないものだっ
たら、物語はどうなるか。成立しません。もうこれだけで刑事物として不出来でしょ
う。古い例になりますが、佐野洋『推理日記2』(講談社文庫)に、次のような旨の記
述がありました。“『スターリン暗殺計画』(檜山良昭 中央公論社)には登場人物が
ソ連の現代アカデミーに裁判記録の閲覧を請求し、マイクロフィルムが送られてくるく
だりがあるが、こんなことはあり得ないと指摘されている”。これと同類ではないか
と。
あるいは、刑事が民間人に違法行為をさせて情報を得る、と解釈すれば物語は成立す
るが、刑事物の主人公(一応、正義のヒーローだろうから)としてだめってことに。
で。
仮に、陣内智則が図書館司書による情報漏洩をネタにしたコントを作って発表した
ら、郵便局員ネタと同じようにクレームが付いて、同じように擁護されるのかな。(^^;
ではでは。